広島県で医療・介護事業を展開する在日2世の姜仁秀・八千代病院理事長(カン・インス、64)が韓国の名門、慶南大学校からの名誉経営学博士学位取得を記念する祝賀会が、許徳行(ホ・ドクヘン)・駐広島総領事などの呼びかけにより20日、広島市内のホテルで開かれ、250人余人が参加した。
姜氏の今回の名誉博士号取得は、八千代病院(511床)、有料老人ホーム「メリィハウス」(2カ所で800室)などを通じた地域医療・介護への貢献、韓日親善交流への尽力、中国吉林省延辺の朝鮮族のための孤児院建設など幅広い福祉活動が高く評価されたもの。
祝賀会では韓国での授与式を再現。学位を手渡した朴在圭(パク・ジェギュ)・慶南大学校総長は、「姜仁秀氏の民族愛とヒューマニズムは私たちの鑑であるとともに、日本社会で立派な在日韓国人の自負心を高めた」と称えた。
許総領事は、「姜仁秀氏が経営する八千代病院は日本の高齢化社会の未来を明るく照らし、最先端の技術を韓国や中国の医療研究者に惜しみなく提供されてきた」と賛辞を贈った。
藤田雄山・広島県知事、秋葉忠利・広島市長から祝辞(代読)が寄せられ、「医療・介護で地域に根ざしたサービスを提供し、日韓交流に多大な貢献をされている」「先日オープンした広島市民球場建設活動の募金活動にも尽力された」と高く評価。
同大学校から名誉経営学博士号を授与された韓昌祐(ハン・チャンウ)・マルハン会長は、「扇千景・元参院議長、深町正信・青山学院名誉院長、朴一哲(パク・イルチョル)・東洋経済日報会長らに授与された慶南大学校の由緒ある学位である」と述べ、「広島といえば原爆だが、最近では広島といえば原爆から姜仁秀氏に代わった。この世でどれだけ社会に貢献したかであの世の値打ちが決まる」と姜氏の社会奉仕活動を称えた。
権五源(クォン・オウォン)・広島民団団長は、「姜仁秀氏は我々のシンボルだ。20年ほど前に広島にこられたときは大変苦労されたと聞いている。夫婦で耐えた困難な日々。涙がご飯の上に落ちたと思う。奥様は、辛いことはたくさんあったが、主人には世のため人のために働いてほしいと語っている」と姜仁秀夫人の献身ぶりに触れ、「涙にぬれたパン」を歌った。
会場からは本日の陰の功労者に奥さんに大きな拍手が送られた。安東善博・日韓親善会長も、「奥様の献身ぶり、姜さんの限りない努力は尊敬に値する」と夫婦愛を絶賛した。
これらの激励を受け、姜仁秀氏は「これを機会に地域の社会・医療・福祉活動に一層努力したい。日本社会において、私たちが本当に地域の約に立つメンバーであるということを認識していただくことが真の日韓親善友好の道だと信じる」と感謝の言葉を述べた。
祝賀会は3時間以上に渡り、最後には壇上が踊り出す人でいっぱいになるなど、笑いと涙の感動的な祝賀会だった。姜仁秀氏が地域の人々に愛されているからだろう。
■韓国・慶南大学校■
慶南大学校(朴在圭総長)は1947年創立。慶尚南道馬山市とソウル市にキャンパスがあり、教養、理学、教育学、経済・商学、法学・政治学、工学の6学部、大学院6研究科を持つ学生数約1万8000人の私立の総合大学校。学内には北韓大学院があり、またソウルキャンパスには「統一館」が2004年に設立されるなど、北朝鮮研究で高い実績を誇っている。朴総長は金大中政権時代の99年12月、統一部長官に就任し、2000年6月の南北頂上会談実現に貢献。その後の南北閣僚級会談では、韓国側首席代表を務めた。著書に「北韓外交論」など多数。