韓哲文化財団(韓昌祐理事長=マルハン会長)の第4回助成金授与式(2009年度)が12日、都内のホテルで開かれた。今年は学術・文化・スポーツなどの分野から10人に助成金が授与された。
韓哲文化財団の前身は韓国文化研究振興財団で、それまでは学術研究が中心だった。財団の再スタートに際し、学術研究だけでなく文化・芸術・スポーツ・福祉などに対象を広げ、16歳の時に事故で亡くなった韓昌祐(ハン・チャンウ)理事長の長男の名前『韓哲』を財団名にした。
韓理事長は「わかりやすく楽しい財団にしたいと考えて新たにスタートした。今後さらに発展させたい」とあいさつした。来賓の池坊保子・衆議院議員は、「『韓哲』さんの夢と心はずっと生き続けると思う」と述べた。財団理事の溝畑宏・観光庁長官、来賓として野球評論家の張本勲さんなども出席した。
次に助成金伝達式が行われ、韓昌祐理事長がそれぞれに手渡した。
東京藝術大学音楽学部器楽科3年の朴琴香(パク・クムヒャン)さんは、「在日としての自覚を持ち、韓日の懸け橋となる音楽家になりたい」と語った。関西学院大学ゴルフクラブ所属の河尊永(ハ・ジョンヨン)さんは、「将来は韓日で活躍するプロゴルファーを目指す」と話した。(社)移民政策研究所代表の坂中英徳さんは、「日本を移民国家にするため、日本社会に政策を訴えていきたい」とあいさつした。ソウル近代都市建築研究会代表の冨井正憲さんは、「ソウルの変貌をビジュアル化した作品を、韓日で展示する。支援を受けてうれしい」と語った。
日韓合同授業研究会代表の善元幸夫さんは、「戦争中の沖縄における韓国人犠牲者を研究している。沖縄に移住して研究したい」と喜びを語った。ハンセン病患者の人権回復に取り組むNPO法人IDEAジャパン代表の森元美代治さんは、「ハンセン病患者の人権回復と韓日交流を進めている」と述べた。被差別日系研究所代表の辛淑玉(シン・スゴ)さんは、「差別を無くす活動に今後も取り組んでいく」と語った。
NPO法人京都フィルハーモニー室内合奏団代表の小林明さんは、「音楽を通じた日韓交流に今後も尽力したい」とあいさつした。植民地時代、人権運動に尽力した布施辰治弁護士の映画を制作している映画監督の池田博穂さんは、「支援に心から感謝したい。5月に完成し、8月に上映予定」と話した。
最後にオフィスクロダ代表の女優、黒田福美さんは、「韓国文化を伝えることに長年携わってきた。これからは韓国の地方文化の魅力を日本に伝えたい。日韓関係が深まり、在日の人が住みやすくなる社会に向けて、これまでの集大成の決意で取り組みたい」と述べた。