ここから本文です

2010/04/16

<在日社会>平城遷都1300年・壮大な古代東アジア交流

  • 平城遷都1300年・壮大な古代東アジア交流

           大仏建立に渡来人が携わった

 「平城遷都1300年」を記念した様々な事業が、奈良を中心に開かれている。奈良の大仏建立に渡来人が大きな役割を果たすなど、壮大な古代東アジア交流を知る機会だ。今月下旬からは「東アジア未来会議奈良2010 多様な交流から連携へ」がスタートし、日本と東アジアの未来に向けた関係を考えていく。

 平城遷都1300年記念事業とは、710年に現在の奈良県奈良市にあった平城京へ遷都されてから2010年で1300周年を迎えることを記念して開催中の記念事業である。

 日本で初めての本格的な都・平城京は、東アジアをはじめ、東アジアを通じたユーラシア大陸の文化までも受け入れる中で誕生した都である。

 建設には百済系の渡来人が貢献したとされ、渡来文化を思わせる遺物が今も残されている。平城京は「唐の長安城が原型」であり、東大寺の「南大門石造獅子像」と中国・浙江省の「寧波石造獅子像」が類似していることも知られている。

 752年の東大寺大仏開眼供養にも、百済系の渡来人がもたらした技術が大きな力を果たした。大仏鋳造を指揮した大仏師の国公麻呂が、日本に亡命した百済貴族の直系だったのである。

 大仏に鍍金する黄金を求めて、やはり百済系の亡命者が、砂金を発見したことも知られている。

 奈良・中宮寺の「木造菩薩半跏像」と韓国・国立中央博物館の「弥勒菩薩半跏像」が極めてよく似ているように、渡来人の尽力無しに、平城京は成立しなかったのである。韓半島で百済が敗れ統一新羅が誕生するという東アジア情勢が緊張する中での、国家の威信をかけて行われたのが平城遷都だったのだ。

 奈良県は、日本の歴史文化の継承を祝う「平城遷都1300年祭」とともに、東アジア諸国とともに未来を考えるプロジェクトとして、「東アジア未来会議 奈良2010」を今月下旬から年末まで開催する。会議で報告された事項を、日本と東アジアの未来に残す知的資産にする計画だ。

 具体的には、韓日中文化大臣フォーラム、APEC観光大臣会合、東アジア地方政府会合、東アジア比較文化国際会議などが開かれ、最後を飾る12月18日には、「日本と東アジアの未来を考える委員会グランドフォーラム」が行われる。

 また5月には、コリアンワールドフェスティバルも開かれ、日韓芸能祭、歴史シンポジウム「日本国家形成と渡来人」が開催。さらに10月には、「韓日中伝統芸能饗宴」や「ライブ・フォー・アジアンピース」も開かれる予定だ。

 奈良県を訪れる韓国人観光客は約16万8000人(2008年)、中国は3万4000人だ。奈良県では平城遷都1300年を契機に韓国、中国の観光客を倍増させたいと、宣伝に力を入れている。