演劇を通した韓日文化交流を行っている日本の劇団ユニークポイント(山田裕幸主宰、東京都国立市)が新作『通りゃんせ』を、8月5日から10日まで、東京・高円寺で上演する。韓国語学校教師の韓国人男性と、生徒である日本人女性との結婚を通して、国際結婚の不安、言葉の壁、文化の違いをどう乗り越えていくかを描いた心温まる物語だ。
制作・脚本・演出の山田裕幸さんは、「国際結婚する2人の友人、知人、家族らが箱根に集まる中で生じる人間模様を描いている。日本、韓国、在日の俳優たち22人が出演する群像劇だ。言葉も韓国語と日本語が飛び交う。国際結婚を通して、他人とコミュニケーションすることの困難さ、大切さを問いかけている。日韓の交流が市民レベルで深まっている現在だからこそ、ぜひ見てほしい」と話す。
新婦役の洪明花(ホン・ミョンファ)さんは在日3世の女優で04年に同劇団入団。翻訳・通訳も担当。「国際結婚のハードルは昔よりは低くなったが、それでも心配事は多い。様々な出会いの中で人生をどう豊かにしていけるか、結婚相手を通して、相手の文化をどう理解していけるか、そんなことを考える舞台にしたい」と語る。
韓国出身で韓日両国の舞台で活躍する金泰希(キム・テヒ)さんは、「日本語ができない新郎の姉を演じる。韓日は歴史問題があって交流が進まなかったが、最近は普通に人と人が出会う関係になってきた。とてもいいことだ。今回の演劇も、一般の人がどう異文化を理解するかという設定なので、面白い試み」と強調する。
同じく在日3世の女優、金恵玲(キム・ヘリョン)さんは、「私は人の目に見えない女の子の役。韓日の言葉の通じない若者たちが出会い、もどかしい思いを抱えながら、必死に交流していく。その姿に両国の未来への希望が見えると思う」と述べる。
同劇団は山田裕幸さんが99年に旗揚げ。05年から韓国演劇人との交流にも力を入れ、昨年は植民地時代をテーマにした『雨の一瞬前』を両国で公演している。今回は韓国との交流事業の集大成となる。℡080・4122・5345。