韓国出身の潘基文・国連事務総長は、きょう6日、広島市で行われる平和記念式典(原爆死没者慰霊式、平和祈念式)に出席する。また平和公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れるとともに、韓国人被爆者らとも面談し、核廃絶への決意を表明する。
潘事務総長は日本訪問前、「被害者に会えることを光栄に思う。被害者の願いである核廃絶を実現するために努力したい。私が生きている間に実現したい」と語った。
潘事務総長は来日後、4日に東京の早稲田大学で「平和と軍縮」というタイトルで講演し、「被爆の苦しみに今もあえいでいる人々のため、核兵器なき世界の実現に向けたメッセージを世界に向けて発信したい。核兵器なき世界を実現することは決して不可能ではない」と強調した。
さらに、「被爆者の話を若い人たちが受け継いで語り続け、記憶を風化させないようにしてほしい」と語った。
潘事務総長が6歳の時に韓国戦争があり、祖国の荒廃と、大勢の人が死ぬ戦争の悲惨さを目の当たりにした。世界平和への強い思いには、幼少期の戦争体験が強く影響しているという。
また韓国に住む被爆者とも多く会い、後遺症に苦しみ、また補償も受けられず生活が困窮している姿を見て、心を痛めてきたという。
潘事務総長は5日に長崎を訪れ、長崎原爆資料館を視察し、被爆者と対談した。広島では、韓国人被爆者との面談も予定している。
韓国人被爆者を代表して潘事務総長と会うのは、民団広島原爆被害者特別対策委員長の姜文煕さん(カン・ムニ、91)だ。姜さんは26歳で被爆、戦後は広島に残り、韓国人被爆者のために尽力し、韓国人原爆犠牲者慰霊碑の建立にも尽力した。
5日には韓国人原爆犠牲者慰霊祭が平和記念公園で行われ、過去1年間に死亡が確認された9人を含む2656人の名簿が慰霊碑に納められた。