芸術、スポーツ分野で世界を目指す在日の若者がいる。英国ロイヤルバレエ団所属の崔由姫(チェ・ユヒ、25)さんは、プリンシパルを目前にし、ボクシングの李冽理(リ・レツリ、28、横浜光ジム)選手は10月、世界王座に挑む。
崔由姫さんは、1984年北九州生まれの在日4世。感情表現豊かな踊りが高い評価を得て、英国ロイヤルバレエ団の次代を担う存在とされる。今秋、ロンドンで『オネーギン』のオリガを踊ることに決定。この難役で認められれば、プリンシパルの座が一気に近づく。
5歳からクラシックバレエを習い、02年ローザンヌ国際バレエコンクールで「プロ研修賞」を受賞し、同バレエ団で研修、03年入団した。年間140回近い公演をこなし、06年にファースト・アーティストに昇格。08年東京公演『眠れる森の美女』で「青い鳥のパ・ド・ドゥ」を踊った。昨年は『ラ・バヤデール』の主役、今年に入って、『シンデレラ』『リーズの結婚』でも主役を務めるなど、急成長を遂げた。8月には東京で行われた『ローザンヌ・ガラ』に出演、「タイス」を踊って観衆を魅了している。日本のトップバレリーナで同バレエ団を今年退団した吉田都から、「後継者」として期待されている。
「バレエの素晴らしさを多くの人に伝えたい。また在日に生まれたことを誇りとし、世界中に在日の存在を伝えたい」と語っている。
李選手は、1982年大阪生まれの在日3世。フットワークとジャブを駆使するアウトボクシングを得意とする。本来はフェザー級だが、階級を一つ落として、10月2日に後楽園ホール(東京)で行われる「WBA世界Sバンタム級タイトルマッチ」で同級王者プーンサワット・クラティンデーンジム(29、タイ)に挑戦する。世界タイトルマッチは初めてだ。
李選手は、在日を公表して初めて世界王座に輝いた元WBC世界スーパーフライ級チャンピオン洪(徳山)昌守氏を目標として、ボクシングに打ち込んだ。高校時代にはよく助言を受け、プロ入りで悩んでいた時も後押ししてもらったという。
その先輩を見習ってチャンピオンになりたいと、決意を語る。
李選手は大阪朝鮮高2年の時に、高校選抜大会バンタム級で優勝。4年の時に全日本選手権ライト級で準優勝するなど、アマチュアで42勝8敗。
05年にプロデビューし、09年7月世界ランキング入り。今年2月、日本フェザー級王座決定戦で高山和徳を破り日本王座獲得。6月には初防衛に成功。プロ入り後の戦績は18戦16勝(8KO)1敗1分。
◆U―15韓国代表合宿 在日選手2人が参加◆
2人の在日少年がこのほど、サッカーの韓国U―15代表合宿に参加した。柏レイソル・ユースに属するMF高慶汰(コ・ギョンテ)と、セレッソ大阪ユースに属するFW金永洙(キム・ヨンス)だ。高慶汰は昨年7月の韓日ユース交流戦で初めて代表に選ばれた。金永洙は今回初めて招集された。
高慶汰は守備的MFとして存在感を示し、金永洙は突破力への評価が高い。
2人の目標は、年齢別韓国代表チームに引き続き選抜され、将来は韓国代表となることだ。