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2011/05/13

<在日社会>東日本大震災・韓日協力して被災者支援を

  • 東日本大震災・韓日協力して被災者支援を

    演奏前に「被災者を支援し韓日友好を」とあいさつする鄭明勳氏(中央)

 対災害をもたらした3月11日の東日本大震災から2カ月が過ぎた。国際的に被災者支援の動きが高まる中、韓国でも支援活動が続いている。10日には都内で、鄭明勳(チョン・ミョンフン)指揮によるソウル・フィルハーモニー管弦楽団のチャリティーコンサートが開かれた。

 鄭明勳氏は冒頭、「2カ月前に仕事で日本にいて大地震を経験した。これまで日本で数多くの演奏を行い、日本には多くの友人がいる。この公演を通じて悲しみを共有し、韓日が隣人という関係を超えて親しい友人になることを願っている」と約2000人の聴衆を前にあいさつした。

 演奏には日本の東京フィルやNHK交響楽団の楽団員も加わり、またバイオリニストの庄司紗矢香が出演するなど、韓日混成で震災からの復興を願って、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲と交響曲「悲愴」を演奏した。今回の収益金の一部が日本赤十字社を通して被災者に寄付される。

 延世大学校は東日本大震災の義援金として、教職員の給与から300万円を集めて姉妹校である慶應義塾大学に送金した。同義援金は、被災学生に送られる予定だ。また、延世大に在学する日本人留学生や在日韓国人学生らは、学内でこの間行った募金活動で集まった2300万ウォン(約175万円)を大韓赤十字社に伝達した。

 韓国の漫画家約50人が、日本の復興を願う作品の展示会を開き、義援金を日本に送った。また韓国漫画家の支援に対し、料理漫画「味いちもんめ」などのヒット作がある漫画家の倉田よしみさんが京畿道・富川の韓国漫画映像振興院をこのほど訪問し、趙寛済会長に「日本の漫画家を代表して韓国人の温かい支援に感謝する」とあいさつした。趙会長は「韓日の漫画家が協力して両国の友好を深めよう」と語った。

 東日本大震災についてNPO法人「国際留学生協会」(東京)が実施したアンケート結果が明らかになった。同協会に登録している日本在住の外国人約1万7000人から392人が回答を寄せた。回答者の9割は韓国・中国・台湾からの留学生だった。

 回答では9割以上の363人が、「不安はあるものの日本で勉強や仕事を今後も続けたい」「日本の復興に留学生の立場で協力したい」などと答えた。また地震や津波を経験したことのない留学生のため、災害マニュアルを作ってほしいとの要望が多く寄せられた。

 在日2世の政治学者、姜尚中・東大大学院教授はこのほど、長野県松本市で「日本と朝鮮半島そして在日」をテーマに講演し、「東日本大震災の被災者を支援しようと(韓国で継続的な)動きが出ていることは、両国が同じ目線になれる時代に少しずつ近づいていることを示している」と語り、「福島原発事故は韓国にも大きな被害を与えかねない。両国が解決に向けて協力していく必要がある」と強調した。