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2011/07/22

<在日社会>長崎県対馬市・「対馬歴史海道博物館」建設へ

 韓日国境沿いの島で、朝鮮王朝から徳川幕府への使節団「朝鮮通信使」の通り道でもあった長崎県対馬市が、歴史資料保存と、韓日文化・観光交流を促進させるための「対馬歴史海道博物館」の建設を計画している。

 対馬歴史海道博物館は、対馬市が韓日交流の拠点として2016年の開館を目指している。古代から韓日交流の拠点となってきた対馬には、旧対馬藩の記録「宗家文庫史料」など、韓半島との交流についての資料が数多く残されている。

 対馬市では、歴史資料の保存と同時に、観光活性化の一助にすべく、以前から博物館建設を企図してきた。そして今回、歴史家や観光関係者、市関係者などでつくる委員会を設置し、初会合を開催し、博物館建設の第一歩を踏み出したものだ。

 建設予定地は、厳原町今屋敷の郷土資料館跡地で(5340平方㍍)、総予算は約25億6000万円を見込んでいる。完成すれば、韓日に挟まれた対馬の複雑な歴史を、両国民に伝える貴重な博物館となりそうだ。

 一方、対馬観光物産協会は、江戸時代に朝鮮通信使をもてなしたと伝えられる「杉焼き料理」の復元に成功した。

 同料理は、杉箱の中にだし汁と魚介類や野菜などを入れて煮る料理で、杉の香りが食材を引き立てる。8月1日に対馬市で開かれる「名物・対馬三焼きフェスタ」で披露され、今後、対馬観光の名物とする予定だ。

 対馬と韓国との交流は、対馬の旧6町(現在の対馬市)が86年に釜山市影島区と姉妹関係を結んでから、本格的にスタートした。90年代に入ると韓日交流のイベントが盛んに開かれるようになった。8月の第1土曜日と日曜日(今年は6日と7日)に開かれる「厳原港まつり対馬アリラン祭」では、約500人の韓日市民で構成された朝鮮通信使の再現行列が、きらびやかな衣装で市内を練り歩く。

 また96年から毎年開かれている「ちんぐ音楽祭」は、世界の共通言語である音楽を通しての韓日交流により、お互いの文化を理解・尊重する風土を醸成するとともに、対馬を訪れる機会を作ることで交流を拡大し、魅力のある島づくりを目的とした音楽祭だ。今年は8月27日に開かれる。

 ほかにも韓日の選手が対馬最北端の町を走る「国境マラソン大会」(今年は7月3日実施)や韓日の写真家による交流写真展などが開かれている。釜山との自治体職員相互派遣も行われている。

 対馬と釜山は約1時間40分の高速旅客船で結ばれ、07年には約7万2000人の韓国人観光客が対馬を訪れた。

 その後、世界経済危機などで落ち込み、昨年は約6万人、今年は東日本大震災の影響で、旅客船が3月末から2カ月半運休、現在も週末だけの運行で観光客が急減している。8月から通常運行の予定だが、市では今年の韓国人観光客は約4万人と想定し、来年から本格的に盛り返したいとしている。