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2011/08/12

<在日社会>聴覚障害の金修琳(キム・スーリン)さん、「チャレンジ精神大切に」

  • 聴覚障害の金修琳(キム・スリム)さん、「チャレンジ精神大切に」

    講演する金修琳さん

 聴覚障害を持ちながらも韓国語、日本語、英語、スペイン語の4カ国語を話す韓国出身の金修琳さん(39)が、東京・立川市の東京都立立川ろう学校で特別講義を行い、日本の聴覚障害の生徒達を激励した。

 金さんは1972年ソウル生まれ。6歳までに聴覚を失う。日本人と再婚した母の導きで来日し、日本の中学・高校を卒業。聴覚障害に負けじと英国留学。独自の学習法で英語、スペイン語を習得。現在は日本で外資系企業に勤め、3歳の愛娘の子育てに奮闘中だ。自伝「耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由」(ポプラ社)を出版している。

 同講演会は、韓国のろう学校ソンシム学校高等部の野球部が、全国大会初勝利をめざす姿を映画化した『ホームランが聞こえた夏』(康祐碩監督)が27日から公開されるのに伴って行われた。また立川ろう学校高等部野球部が、東京都ろう学校大会の優勝常連校で、健常者と競う大会でも互角の戦いを繰り広げていることから実現した。

■金修琳氏の講演要旨

 皆さんより少しだけ社会に出た先輩として話したいと思う。聴覚障害者であることを健常者に理解してもらうのは、非常に難しい。耳が聞こえないことで得られる情報が断片的になり、誤解が生じトラブルになるからだ。偏見と向き合わなければならないこともある。それは必ずしも悪意から出たものではない場合もある。大切なのは、戦うスピリットを持つことだ。ハンディがあることを理由に逃げない、ということを私は常に心がけている。そのためには何が必要か。それは、ハンディキャップがあることを受け入れることだ。ハンディとしっかり向き合い、その上で何ができるかを模索していくことが、社会に出て行く上では、とても重要になる。

 『ホームランが聞こえた夏』は、聴覚障害ということを押し付けがましくないよう描き、非常に共感し涙した。

 外国語を学ぶ上で苦労したことは、日本語の場合は、口の動きが同じで違う発音のものが非常に多い点。漢字の読み方も難しい。

 英語は同じスペルでも単語によって発音が違うし、舌が上がったり、舌が出たりする感覚を掴むまで大変苦労した。

 あきらめないこと、チャレンジする精神を持って強い心で楽しむことが大切だ。せっかく一度しかない人生。日本だけにいないで、もっと広い世界を見て、いろいろな人たちと交流してほしい。そうすれば自分がどういう存在であるかが浮かび上がってくる。ぜひ外に出て、怖がらずにチャレンジしてほしい。