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2012/05/25

<在日社会>八千代病院創立20周年・高齢者福祉の拠点に

  • 八千代病院創立20周年・高齢者福祉の拠点に①

    八千代病院創立20周年記念式典

  • 八千代病院創立20周年・高齢者福祉の拠点に②

    姜仁秀理事長㊧と、長女の姜慧副理事長

 「もてなしの心」をモットーに高齢者医療活動を続けている八千代病院(広島県安芸高田市八千代町)が創立20周年を迎え、18日に広島市内のホテルで記念祝賀会を開き、地域の政財界の有力者を含め630人が出席した。祝賀会は3時間に及び、20周年を心から祝う声が相次ぎ、辛かった開業当時の思い出に涙がほろりとするシーンもみられた。地域に愛され支えられてきた病院であることを実感させる、心温まる雰囲気に包まれた。

 祝賀会は、華やかな韓国舞踊で始まった。韓国の民族服姿で登壇した八千代病院生みの親の姜仁秀理事長は在日2世。「八千代病院は20年前のきょう、八千代町の片田舎で難産の末にこの世に産声を上げた。果たしてこの子は丈夫に育つのだろうか。生きるのが危ぶまれる中で生まれた」と振り返り、1050名の職員らの献身的努力と地域社会に支えられて成長できたと感謝した。

 姜理事長は、病院開設以来、理事長を支え続けてきた勤続20年のスタッフ23人に感謝状を授与。その目には涙が流れていた。表彰を受けた女性スタッフは「開設当時は世間の冷たい風に晒され、辛い思いもたくさんした。しかし、今では無くてはならない病院に成長を遂げた。今日まで頑張れたのは理事長の人柄のおかげ。もてなしの心、温かいケア、笑顔でこれからも患者に接していきます」と語った。

 来賓挨拶で、辛享根・駐広島韓国総領事は「世界的に高齢者福祉が重要だが、八千代病院は心のケアまで行う老人福祉の模範になっている。また、韓国との交流に数百名の訪韓団を組織するなど様々な交流事業に携わっている。最近創立したNPO法人広島韓国国際交流センターの活躍も期待される」と述べた。

 斉藤鉄夫衆議院議員は「地域医療、高齢者福祉に無くてはならない存在」と述べ、姜理事長が広島市民球場建設の募金活動の先頭に立ち、中国の吉林省延辺に孤児院「新星館」を建設したことを高く評価した。

 また、広島県議会の林正雄議長、広島市議会の木島丘議長が挨拶、八千代病院の社会貢献に感謝の言葉を述べた。韓昌祐・世界韓人商工人総連合会会長が祝杯の音頭をとり、八千代病院のさらなる発展を祝った。

 会場のスクリーンでは、姜理事長の生い立ちから妻との出会い、どん底から立ち上がり、病院開設に至るまでの半生が映し出された。また、延辺の孤児院で暮らす子供たちが「姜理事長のおかげで頑張って生きていけます」と語るビデオレターも紹介された。

 最後に姜慧副理事長が、「20周年を迎えることができたのはスタッフはじめ多くの方たちの支援のおかげ」と述べ、涙ぐんだ。

 ◆八千代病院 医療法人社団八千代会が手がける広島県下でも有数の介護療養型医療施設。療養型病床280床、介護療養型病床231床の計511床を有する。基本理念として「もてなしの心」を掲げ、入院患者や家族の意思を尊重した医療、介護をめざしている。病院のほか、広島市を中心に有料老人ホーム「メリィハウス」や高齢者専用賃貸住宅も展開。