茨城県小美玉市（旧美野里町）を拠点に、地域医療と教育事業に取り組むハングルアカデミー医療法人正信会及び社会福祉法人青丘の金正出理事長が、２０１４年４月、茨城県内に新しい民族学校を設立する。中高一貫校の全寮制の学校で、日本政府の認可を受けた一条校だ。

　「青丘学院つくば」の基本理念は、東方礼儀の国と言われた韓国の伝統文化を受け継ぎながら、ハングル・日本語・英語の３カ国語に精通した国際的視野を持った学生に育て、日本はもとより、アジア及び世界の人々と協調できる人材を育てることにある。全寮制の教育体制により、集団生活を通して、お互いに助け合う協調の精神を養うとともに、忍耐強く克己心の強い学生を育てていく。そして、在日の先人達が築いた在日社会を正しく継承発展させうる、在日のリーダーを育てることを目的としている。

◆｢在日の歴史知り３カ国語精通を」金正出理事長の話

　――教育事業に取り組む思いは。

　在日２世として、民族教育を大切にしたいという強い思いを持っていた。また在日の子弟が在日の歴史を理解し、アイデンティティーを自覚し、韓国語、英語、日本語を身につけて国際人として世界に羽ばたいてほしいと願っていた。文部科学省認可の全寮制の中高一貫校を設立するのは、私の夢だった。

　――論語を通した礼儀作法、学内は日本語禁止とのことだが。

　なぜ論語かといえば、あいさつをきちんとする子どもを育てたいからだ。そして「一人は全体のため、全体は一人のため」という理念の学校を作りたい。

　また、「美しい母国語、正確な日本語、使える英語」を目標にする。母国語は民族の魂であるし、日本語は必須の言葉であるし、英語は世界に飛躍する言葉である。日本の学校で一番ハングルができる学校にしたい。学校内ではハングルを常用させる計画だ。生徒は大変だが、やり抜けば語学力が飛躍的に高まるだろう。

　――理事長として生徒をどう指導するか。

　生徒を知るために夜も寄宿舎に泊まり込んで、生徒と対話したいと考えている。教育は人任せにはしない。当面はすべて私が把握するつもりだ。学校の運営費も私が個人的に補助をするが、５～10年間ほどで運営にめどがついたら、授業料も若干値上げして自主的な運営にしたい。

　――最後に抱負をお聞きしたい。

　在日コリアンは言葉と文化の力で生きるべきだと常々考えてきた。言葉と文化を習得して、後は世界を舞台に自由に生きればいい。

　全寮制で月10～12万円という月謝は、一般的にはあり得ない安い金額だが、それも私の思いに賛同する生徒を集めたいからだ。スポーツにも力を入れ、文武両道の子どもを育てたい。