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2012/02/03

<在日社会>在日としての生き様を多様な表現で描き出す

  • 在日としての生き様を多様な表現で描き出す

    在日についてさまざまな角度から話し合われた

 第2回日韓演劇フェスティバルの関連企画として、「ちゃんそり―在日ってどないやねん!?―」がこのほど、都内で開かれた。文学、映画、詩、歌などの表現活動に携わる6人が、「日常生活から見えた在日という存在」について語り合った。

 会場には約100人が参加した。「血と骨」などの話題作を書き続けている作家の梁石日さんは、「大阪の在日密集地に生まれ育ったので、自分が在日であることは当たり前だった。日本名からいまの在日のペンネームに変えて現在に至っている」として、表現活動において出自を自覚する意味を語った。

 在日の思いを歌い続けてきた歌手の夫歌寛さんは、「自分にとっての在日は『負』だった。その思いを歌ってきたが、もちろんラブソングなども作り、歌っている」と話した。

 詩人のぱくきょんみさんは、「私の母は在日に生まれたトラウマを抱えて生きざるを得なかった。そんな在日の悲しみや歴史を詩で表現する中で、家族のあり方、前向きに生きていく大切さを考えた。それを詩で共有したい」と述べた。

 祖父が韓国人でクォーターの詩人・中村純さんも「母は民族差別に苦しんだ。私は、社会的弱者がどう精神的に追い込まれるかを目の当たりに見て育った。昨年の原発事故で福島の人たちが故郷からの離散を余儀なくされている。社会的弱者、少数者への思いを今後も詩に託したい」と話した。

 女優・声優で活躍する朴璐美さんは、「自身のアイデンティティーを大切にしながら、一つ一つの作品に体当たりで挑戦してきた。女優業を通して境界線を無くす生き方をしたい」と語った。

 『血と骨』『カムイ外伝』などの話題作を送り出してきた崔洋一監督は、「自己喪失をエネルギーに変えていくのがこれまで描かれてきた在日だった。在日数十万人が、それぞれの人格と思想をどう表現していくかが大切な時代になった。また文化は越境するものであり、韓日も文化が広くクロスする時代になった。韓国で映画作りに携わったが、エネルギーを感じた」とまとめた。