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2012/05/11

<在日社会>トキ、コウノトリの野生復帰を

  • トキ、コウノトリの野生復帰を

    08年に中国から韓国に贈られたトキのつがい

 13日に北京で開かれる韓日中首脳会談に合わせて、中国政府が国際保護鳥のトキのつがいを、韓日両国に寄贈することを決定した。韓日ではトキとコウノトリの保護に向けた活動が行われ、中国を含めて交流と研究が盛んだ。

 4月末、「水田の生物多様性保全のための韓日自治体交流シンポジウム」が、韓国・慶尚南道のホテルで開かれた。

 同シンポジウムは、慶尚南道・ラムサール環境財団主催で開催された。慶尚南道にはトキの飼育施設があり、将来の野生復帰を実現するため、道内の農業環境整備に力を入れている。

 同シンポに、放鳥トキのひなが誕生した新潟県佐渡市の甲斐元也市長が招かれ、これまでの取り組みを発表した。また兵庫県豊岡市の中貝宗治市長も招かれ、コウノトリの野生復帰事業について話した。豊岡市はコウノトリの生息可能な環境を整備し、農家も無農薬栽培を行うなどの取り組みを行い、05年に初のコウノトリの放鳥を実現させている。

 慶尚南道では来年コウノトリの放鳥を計画しており、中貝市長らは、その飼育施設も訪問した。

 韓国の自然保護関係者は、「韓国でもトキやコウノトリの野生復帰を目指している。そのための韓日協力を促進させたい」と話した。

 今年7月16~18日には、新潟県佐渡市で「生物の多様性を育む農業国際会議」が開かれ、無農薬農業など生物の多様性を守るための農業技術について話し合われる。「韓国におけるトキとコウノトリ」など、韓日中の取り組みについての報告もされる予定だ。

 *コウノトリは東アジア地域に、現在2000~3000羽が生息している。絶滅危惧種である。

 トキも東アジアに生息し、絶滅の危機に瀕している。中国で繁殖に成功し、現在約2000羽がいる。日本では99年に中国から寄贈されたトキをもとに人工繁殖に成功し、野生復帰を目指して放鳥。今年4月、新潟県佐渡島で、放鳥されたトキのつがいから初めてひなが生まれた。日本には現在、約200羽いる。一方、韓国には08年の韓中首脳会談に合わせて、トキのつがいが初めて中国から贈られ、それをもとに人工繁殖に取り組んでおり、現在16羽がいる。