在日2世の河正雄・光州市立美術館名誉館長(ハ・ジョンウン、72、埼玉県川口市在住)が収集した美術作品を展示する霊岩(ヨンアム)郡立河美術館(全羅南道霊岩郡)が3日に開館した。在日2世の名前を付けた美術館が韓国に誕生するのは初めてのこと。
3日の開館式には、河正雄名誉館長と家族、霊岩郡と光州市、麗水市の関係者、韓国各地の美術館関係者、霊岩郡民など約500人が出席した。
河名誉館長は、「霊岩郡から美術品寄贈の依頼を受けてから、美術館建設まで足掛け7年の歳月がかかったことを思うと、きょうは感無量だ。美術品は時空を超えた人類の貴重な文化財産。故郷に河美術館が誕生したことは本当に光栄だ」とあいさつした。
同美術館は、河正雄名誉館長が2700余点の美術作品を寄贈したことをきっかけに、郡が約6000平方㍍の敷地に美術館約1400平方㍍とゲストハウス100平方㍍を建てたもので、地下1階地上2階建ての建物に、常設展示室、企画展示室、収蔵庫、事務室などを備えている。総工費は約55億ウォン(国費約14億8000万ウォン、郡費約40億2000万ウォン)。
開館記念「恋しい故郷」展では、世界的に著名な在日1世の作家、李禹煥さんの作品から、日本の関根伸夫、シャガールの「恋人たちの花束」まで、韓国、日本、在日、西洋の作家の多彩な作品約150点が展示されている。韓国の著名な月刊美術雑誌「アート」の発行人である金福基氏は、「河正雄コレクションは、韓国と日本の間に横たわる歴史の長いトンネルを旅してきた、一人の人間の『生の旅情』が溶け込んでいる」と話した。
河名誉館長は最後に、「霊岩郡は、日本に古代文化を伝えた王仁博士ゆかりの地でもある。美術館には在日と日本人作家の作品も多数あるので、梅まつりや菊まつりの時に、在日や日本の人たちに大勢来てほしい。在日が美術を通して本国との交流を深め、また韓日両国の文化交流の一助を果たすことが出来れば、こんなに意義深いことはないと思う」と語った。
河正雄名誉館長は1939年東大阪市生まれ。両親は霊岩郡出身。苦学して画家を志すが家庭の事情で果たせず、実業家として成功後は在日画家の援助、韓日文化交流活動など多分野に尽力した。