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2012/09/21

<在日社会>ソウル国立民俗博物館、藤本巧・寄贈写真展開催

  • ソウル国立民俗博物館、藤本巧・寄贈写真展開催①

    サーカスの空中ブランコを見て驚く子供たち(80年代半ば、江陵)

  • ソウル国立民俗博物館、藤本巧・寄贈写真展開催②

    70年代半ばの釜山チャガルチ市場

 日本人写真家、藤本巧さんが撮影した「過ぎ去った私たちの日常」藤本巧寄贈写真展が、ソウルの国立民俗博物館で10月1日まで開かれている。藤本巧さんが1970年から現在まで、韓国を50回訪問して撮影した写真4万6377点が昨年、同美術館に寄贈されたのを記念した展示会で、70~80年代の民俗写真約100点が展示されている。

 藤本さんの名前・巧は、植民地時代に朝鮮を愛した民芸研究家の浅川巧の名前からとった。父親が巧の生涯に大きな感銘を受け、息子の名前も「巧」と名付けたという。

 1970年8月、藤本さんは父親と一緒に初めて韓国旅行をした。20歳だった。浅川巧の墓を参拝し、安東や南原などの市場を撮影した。この最初の韓国旅行で、「朝鮮民芸を理解するには韓国人の生活を理解することが重要である」との助言をある民芸研究者から受け、それ以来、韓国の日常風景を撮影することにのめり込んだ。

 70年代のセマウル運動で消えつつあった藁ぶき屋根や石垣、機械を導入する前の手作業による田植え風景、釜山のチャガルチ市場のアジュモニ(おばさん)たちのエネルギーと温かい情、江陵端午祭での踊りやサーカス公演など、過ぎ去った70〜80年代の日常風景に出会うことができる。

 2010年、藤本さんはソウルの国立民俗博物館から写真の寄贈依頼を受ける。藤本さんの活動を高く評価し、同博物館のアーカイブに保存するためだ。藤本さんは、その申し出を受け入れ、約4万6000カットのネガを寄贈した。

 藤本さんは、あと8年撮影して韓国民俗50年として記録する希望を持っている。撮影した人々が現在どうしているか、会って話を聞きたい計画もあるという。

 過ぎ去った韓国の「日常風景」に思いをはせると同時に、韓日文化交流を促進させる写真展だ。