一時期冷え込んだ韓日交流を再び活性化させようと、両国の文化人、市民らが交流活動に取り組んでいる。各地の動きを追った。
韓日中の有識者らが、3カ国の対話促進を話し合う「韓日中文化交流フォーラム」がこのほど、中国江蘇省無錫市で開かれた。各国の参加者は、「民間交流・文化交流を継続させて相互理解を深めることが、東アジアの未来に向けて重要」との認識で一致し、同フォーラムを来年も開催することで合意した。
一方、韓日両国の観光担当者による局長級会合が北海道の函館でこのほど開かれ、「両国間の課題にかかわらず、観光交流を推進する」ことで意見が一致した。そして「韓日両国を相互往来する旅行者数の2013年目標を700万人とする」ことで合意した。
両国とも、大都市だけでなく地方の観光活性化に取り組くむことを決定し、年内に共同で活動計画を作成する。
佐賀県神埼市は、5世紀初めに百済から渡来し、日本に漢字や儒教を伝えたとされる「王仁博士」を祭る鰐神社(同市神埼町)周辺を、日韓交流の象徴にすべく、記念碑設置などの観光整備を、数年かけて行う。
王仁博士に関する史跡は、日本では大阪府枚方市に「墓」があるが、それ以外はほとんど残っていない。王仁博士は有明海を通って、神埼付近に上陸したとの説があり、社殿の奥に「王仁天満宮」と書かれた石の祠がある。
佐賀では両国市民のギター交流も10数年行われており、10日に佐賀市内で合同演奏会が行われる。「李如石ギターオーケストラ」30人と佐賀ギターアンサンブル「ラ・エスペランサ」30人で、音楽を通した草の根交流を市民に呼びかける。両グループは両国で交互に演奏会を行ってきた。
和歌山では、豊臣秀吉の朝鮮侵略の際、朝鮮に帰化した日本人武将「沙也可」(韓国名・金忠善)を通じて日韓交流を深めようとする市民団体、「雑賀衆・沙也可で街おこしの会」が、和歌山市と沙也可との関係についてのハングル版資料作りなどに取り組んでいる。沙也可は、日本の戦国時代に現在の和歌山市などを拠点に活動した雑賀衆を率いた雑賀孫市の息子、孫一郎ではないかとの説がある。
福井県大飯郡高浜町の韓国文化交流センター「保寧の家」は、きょう9日から12日まで、町民ら15人を韓国へ独自に派遣し「友情の音楽会」を開く。同音楽会は昨年11月、交流関係にある忠清南道保寧市の主催で「韓日友情の音楽会」として初開催された。今年2回目を開くため準備をしていたが、9月に今年は市レベルでは中止と決まった。しかし、両国市民有志が話し合い、民間交流の形で開催する。