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2013/04/05

<在日社会>在日若手3監督・短編5作品発表"多文化共生"訴える

  • 在日若手3監督・短編5作品発表”多文化共生”訴える

    (右から)朴英二監督、朴美和監督、李達也監督

 「在日コリアン短編映画上映会」が3月30日、神奈川県川崎市の日本映画大学新百合ヶ丘キャンパス大教室で開かれた。在日コリアンの自主映画監督による短編映画の上映会で、在日コリアンの抱える様々な問題、多文化共生への思いを映像を通して観客に伝えた。

 朴美和(27)、朴英二(38)、李達也(38)の3監督とも在日3世で、上映された作品は5作品。

 朴美和監督の『三河島ジャンケンポン』(07年)は、在日コリアンの少女と日本人少年の出会いと成長を描いたドラマ、同じく『東京アリラン』(08年)は日本の高校に通う在日3世の少女が、祖母の死を前に自らのアイデンティティーについて考える。

 朴英二監督の『まとう』(10年)は、日本の高校と朝鮮学校の少女が知り合って友人になり、チマチョゴリの切り裂き事件が起きる中で、それぞれの立場や相互理解とは何かを自問する。ラストに流れる「チョゴリ」の歌が印象に残る。

 李達也監督の『アイゴー!~我が国籍は天にあり~』(11年)は、日本人と結婚するという長女、韓国籍に変えたいと言う長男の願いに反対する朝鮮籍の父親を描いた喜劇で、民族的アイデンティティーとは何か考えさせられる。

 今回初上映となった李達也監督の『GARAPAGOS』(13年)は、在日青年と結婚しようと考える日本の若い女性の姿を喜劇タッチに描きながら、日本社会の民族差別を見つめた意欲作。

 朴英二監督は、「チマチョゴリの切り裂き事件が起きたのは94年だが、その問題を映画化したいとずっと考えていた。日本の学校の人権教育授業でも上映の機会があり、在日の歴史を知らなかったなどの意見があった」と語った。

 李達也監督は、「いまも民族差別や排外主義的な考えが存在する。ガラパゴスな社会という意味でこのタイトルを付けた。民族的自尊心を持つ意味を訴えた」と述べた。

 会場には在日と日本の若者や、日本映画大学関係者などが詰めかけ、「5作品が年代順に上映されたのが良かった。さまざまな在日がいることを知った」「いまも差別が残っているのは日本人として恥ずかしい」「在日と日本社会の変化を撮り続けてほしい」などの感想が寄せられた。

 3監督とも、今後は長編にチャレンジする計画だ。朴美和監督は新作『いたいのいたいのとんでいけ』を、5月に都内で行われる女性映画祭「桃まつり」で発表する。