記録映画『もうひとつのヒロシマ-アリランのうた』(87)『アリランのうた-オキナワからの証言』(91)の朴壽南(パク・スナム)監督が、長い沈黙を破って映画化した『ぬちがふう(命果報)-玉砕場からの証言-』が、全国各地で自主上映され、話題を呼んでいる。沖縄戦における玉砕(強制集団死)」の体験者と朝鮮人軍夫の証言を主に長期取材したドキュメンタリーだ。
同映画は、太平洋戦争末期の沖縄戦における慶良間(けらま)諸島の住民が強いられた「玉砕」、そして朝鮮半島から連行されてきた軍属と慰安婦たちの「玉砕」について、沖縄戦を生き残った現在90歳前後の人たちの約30人の証言で明らかにする。
朴壽南監督は在日2世で、同映画は2006年から08年にかけて沖縄で取材した証言の記録と、20年前(89年~92年)に撮影し、これまで未公開だったフィルムを、編集に約4年近くかけて132分の長編ドキュメンタリーにまとめた。
命がけで脱出し一命をとりとめた朝鮮人元軍属たち6名が47年ぶりに再び島を訪れ、しまんちゅ(島人)と共に、斬り込みや虐殺の現場を探す旅がはじまる。さらに、この島に連行されてきた慰安婦の少女たち、沖縄本島糸数アブチラガマで殺された慰安婦たちの存在が、証言によって浮かび上がっていく。「沖縄戦」「玉砕」とは何であったのかを伝え、その責任が誰にあるのかを今の私たちに問いかけている。
朴壽南監督は、「アイデンティティーを奪われた人たちと体験を共有するところから始めた。つらい体験を聞きだすため、完成に20数年かかった。歴史の真実を伝えたいという体験者と私の思いが結実した」と語った。
■上映会日程■
5月5日午後1時30分と5時30分=東京・なかのZERO(開場時間、以下同じ)
5月12日午後12時=兵庫・宝塚市立西公民館、
6月1日午後1時=滋賀・栗東芸術文化会館さきら
6月2日午後12時30分=福岡・西南学院大学2号館203教室
6月16日午後1時30分=沖縄・南風原中央公民館
6月29日=大阪・生野KCC会館5Fホール(時間未定)
6月30日午後2時と午後5時=京都・多文化交流ネットワークサロン
アリランのうた製作委員会℡09・6867・3843(朴麻衣・事務局)mai.park@gmail.com