多文化共生に取り組んでいる「NPO法人広島韓日国際交流センター」(姜仁洙理事長)がこのほど、広島市内で「多文化共生―国際交流活動からのアプローチ」と題したフォーラムを開催した。地域住民や韓国や中国からの留学生ら140人が参加し、国籍や民族の壁を越えて地域で仲良く平和に暮らす意味を共に考えた。地域での多文化共生を実践する経験談に会場からは盛んな拍手が送られた。
司会の盧在洙・同センター専務は「違いを超えて合意形成し、国際交流の線を面にするのが多文化共生だと思う。私たちの住んでいる足元の広島の各地域で多文化共生を実践しよう」と呼びかけた。主催者である在日2世の姜仁洙理事長は「人間は平和でないとすべての活動はできない。世の中は、物欲や権力欲でいつも同じようないさかいが生じてきたが、多文化共生は心の安寧にもつながり、人類の幸福のための一番大切なキーワードではないか。私たちは違いを認めて共存する以外にないが、多文化共生を成し遂げようとすれば寛容の心が大切であり必要」と強調した。
姜理事長は22年前に広島県の安芸高田市(当時は高田郡八千代町)に介護療養型医療施設「八千代病院」を開院した。当時を振り返り、「私は高齢化医療のため病院を建設したが、オープン当時はつらい思いもした。『よそ者の儲け主義』と中傷するビラも撒かれた。しかし、今では異邦人が役に立っている。中山間地で630人を雇用し、利益の半分の税金を収めている。異質なものを受け入れ新たなエネルギー、知識を生み出してほしい」と訴えた。
広島県に在住する外国人は113カ国・38万6578人(2010年)を数え、そのうち韓国・朝鮮籍者は29%を占め、10万人を超える。広島では様々な多文化共生の取り組みが行われており、国際交流・協力団体が70にのぼる。
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