シンポジウム「日韓交流の懸け橋・対馬―朝鮮通信使から学ぶもの」(長崎県主催)が21日、東京・領国の江戸東京博物館で開かれた。厳しい韓日関係が続いているいまこそ、約400年前の朝鮮通信使の「誠信外交」の精神に学び、韓日友好を築こうという趣旨で行われ、朝鮮通信使の研究者などから報告がなされた。
対馬は、韓半島と九州本土との間に浮かぶ国境の島で、釜山までわずか49・5㌔である。豊臣秀吉の朝鮮侵略による両国の国交断絶は、対馬にとって死活問題だった。対馬藩は両国の間を奔走し、外交・文化使節団である「朝鮮通信使」の実現に尽力した。
朝鮮通信使研究の第一人者である仲尾宏・京都造形芸術大学客員教授は「朝鮮通信使~江戸日本の誠信外交と交流」と題して報告した。
仲尾教授は、「当時、朝鮮側は多くの民衆が犠牲となり農村は荒廃した。日本側も秀吉に出兵を強制されたため、全土が疲弊した。特に対馬は朝鮮貿易が途絶したため経済的苦境に陥った。早期の関係改善が必要だった」と話し、「大きな被害を受けた朝鮮側には日本への不信感が強かった。対馬藩に仕えた雨森芳洲は、相手を知り文化を理解することから始まると考え、相手の言葉を勉強し、朝鮮に何度も渡り、『誠信外交』を唱えた。その精神が今こそ必要だ」と強調した。
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