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2013/11/01

<在日社会>在外被爆者にも医療費を

  • 在外被爆者にも医療費を

    陜川の被爆者福祉会館にある韓国人被爆者の位牌

 韓国に在住する被爆者ら3人が、海外に住んでいることを理由に被爆者援護法に基づく医療費が支給されないのは不当として、日本政府と大阪府を訴えていた裁判で、大阪地方裁判所は10月24日、大阪府に対し医療費支給申請却下の処分を取り消すよう命じた。国と府への計330万円の国家賠償請求は棄却した。大阪府は28日に控訴見送りの方針を示しており、一審判決が確定する見込みが高まった。

 在外被爆者への被爆者援護法に基づく医療費支給をめぐっては、広島や長崎でも同じような訴訟が起こされている。今回、大阪地裁が初めて海外在住の被爆者に医療費を支払うよう司法判断を下したことは、他の裁判にも影響を与えそうだ。

 今回、訴訟を起こしたのは、広島で被爆した李洪鉉さん(67)と、被爆者遺族など3人。原告らは、解放後に帰国したが、原爆の後遺症に悩まされ続けた。80年代以降に被爆者健康手帳を交付された。2006年から10年にかけて腎臓病やがんの治療のために、韓国の病院で支払った医療費の支給を大阪府に11年に申請したが、海外での医療費という理由で認められず、訴訟を起こした。被爆者援護法は被爆者の医療費を国が全額負担するよう定めているが、海外在住の被爆者が海外の医療機関で治療を受けた場合には、国籍にかかわらずこの規定を適用していない。海外在住者に対しては援護法とは別に、年間で最大17万9000円の医療費を支給している。


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