前衆議院議員の池坊保子氏が理事長を務めるNPO法人「萌木」による「次世代に伝えたい、話したい、日韓の絆」をテーマにしたシンポジウムが東京のプレスセンターで開かれ、150人が参加。現在の日韓関係は、政治的に悪化しているが、日韓は歴史的にも深いつながりがあり、文化・スポーツなど多分野の交流を通じて仲良くなることが大切だと強調した。
基調講演で国文学者の中西進・京都市立芸術大学名誉教授が、儒学者の藤原惺窩(せいか)と豊臣秀吉の朝鮮侵略で連行された儒学者の姜沆(カンハン)の交流などを振り返り、「韓国の知によって日本の知も高まった」と述べた。万葉集にも登場する奈良時代の歌人、山上憶良が渡来人との説があるなど、日本と韓半島との深いつながりを示す例は数多い。
伊藤亜人・東大名誉教授は、70年代に韓国の地方でフィールドワークした体験を振り返り、「異文化の友人を持つことが大切だ。一人でも多くの友人をもてば日韓関係もよくなる」と語った。
基調講演の後のパネルディスカッションで、「萌木」の理事でもある韓昌祐・哲文化財団の韓昌祐理事長は「25年前、玄界灘に橋を架けたいとの思いで財団を作った」とし、「日本人はあまりに韓国のことを知らない。韓国人は日本の問題になると感情的になるが、今の韓日関係は最悪だ。何としても、両国は仲良くならなければいけない」と強調した。また、ナチスに苦しめられたフランスが戦後の1963年にドイツと結んだエリゼ条約に触れ、「首脳は年2回、閣僚は年4回必ず会い、民間人は15万人が交流する」と規定しているとして、韓日関係改善の方向を示唆した。いうまでもなく、エリゼ条約は仏独和解の基礎をつくった。
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