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2014/04/04

<在日社会>日本のシンドラー、差別許さず韓国人弁護

  • 日本のシンドラー、差別許さず韓国人弁護①

                     布施 辰治

  • 日本のシンドラー、差別許さず韓国人弁護②

    「弁護士 布施辰治 顕彰碑」(宮城県石巻市虻田 あけぼの公園)

 日本が韓半島を植民地にしていた時代、韓国人の生命と権利を守るために活動した人権弁護士、布施辰治(1880―1953)の生涯を振り返る「人権弁護士 布施辰治―民衆と共に生きた人」展が、東京・新宿の高麗博物館で始まった。「韓日友好に尽くした布施辰治の生き方を、ヘイトスピーチ(憎悪表現)の問題がある今だからこそ知ってほしい」と同館では開催意義を話す。

 布施辰治は、社会の最も弱い立場におかれた人々―都市貧民や農村の小作人、治安維持法で苛酷に処断される人々、そして、植民地となった韓半島の農民や独立の志士たち―の弁護活動に心血を注いだ。名誉も地位も利益も何一つ求めず、「生きべくんば民衆とともに 死すべくんば民衆のために」の信念をもって、ただ民衆のために生きた人だった。

 布施辰治に対する評価は、日本においてはまだ十分とはいえないが、韓国では2004年に、故・布施辰治に日本人初の「韓国建国勲章」を贈り、その業績を称えた。

 同展を企画した田崎敏孝・高麗博物館専務理事は、「この間、日本社会では排外的な風潮が強くなり、韓日関係も悪化している。同館がある新大久保コリアンタウンは韓流の中心地だったが、ヘイトスピーチのひどさは耳を覆いたくなるほどだった。しかし、市民運動の成果もあって、この数カ月はヘイトスピーチのデモも起きず、街もやっと活気を取り戻してきた。布施辰治という稀有な弁護士の存在を、日本社会に知ってもらうことで、差別反対と日韓友好の流れを進めたい」と話す。


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