パチンコ業界トップのマルハンが5月に創業60周年を迎えるにあたり12日、都内のホテルで記念祝賀会を開いた。全国の店長ら1000余人を前に、韓昌祐会長は「今後20年、40年、マルハン発展へ向け決意を新たにする決起集会だ」と述べ、より一層の創意と工夫を訴えた。
祝賀会にはマルハン関係者以外に、伊吹文明・衆議院議員、崔文洵・江原道知事、三崎政直・京丹後市長、呉公太・民団中央本部団長、在日世界韓人商工人連合会会員らが来賓として参加した。
韓会長は挨拶で「この60年間、ハングリー精神とチャレンジ精神を持ち続け、常に守りでなく攻めの精神をモットーにしてきた」と強調した。そのマルハン60年の歴史を振り返る40分間のVTR映像が映し出された。
マルハンは、創業者の韓昌祐会長が1957年に京都府京丹後市峰山町で始めた名曲喫茶「ルーチェ」をスタートに、数々の試練を乗り越え、2005年に業界初となる売上1兆円を達成した。その後も業容を拡大し、現在の売上高は16年3月期末で1兆8988億円に達した。1店20台で始めた店舗数も、現在1400台の大型店など320店に増えた。
主な関連企業として店舗清掃などを行うエムエムインターナショナル、飲食事業などを手掛けるマルハンダイニングも成長。13年には全国17コースをもつ太平洋クラブを買収し、ゴルフ場経営でもトップを目指している。その一方で、海外事業にも進出し、08年にカンボジアで「マルハンジャパン銀行」を設立。昨年、現地の大手マイクロファイナンス機関「サタパナ社」と統合し、「サタパナ銀行」として業務を開始した。融資件数11万件以上、160の拠点を持つカンボジア第2の商業銀行となった。
マルハンの特徴の1つが社会貢献だ。韓会長は「儲けた金は社会に還元する」ことをモットーにしている。15年、京丹後市に5億円を寄付、文化、スポーツや新産業振興のための「京丹後市韓哲・まちづくり夢基金」設立の財源となった。11年3月の東日本大震災の時も5億円の義援金と従業員からの2億円の募金、計7億円を出し、従業員が毎月1回、1年間にわたり被災地でボランティア活動をした。東京・池袋の名画座を「新文芸坐」として復活させたのも社会貢献の一貫だ。
韓昌祐・哲文化財団は、韓日の若い才能と多彩な文化を支援するため助成活動を行っている。
〝業界を変える〟をスローガンにサービス革命を実践した韓裕社長は、この歴史を受け継ぎ、「夢と理念をもとにたゆまず前進したい」と次代に向けた決意を表明した。この日の祝賀会では05年よりマルハンがオフィシャルサプライヤーとして支援している東京フィルハーモニー交響楽団をバックに、3人のテノールとソプラノの佐田山千恵がヴェルディの「乾杯の歌」など15曲を披露した。
崔文洵・江原道知事はこの日の祝賀会で、韓昌祐会長に東北アジアの経済交流のため江原道で開く「2017GTI国際貿易投資博覧会」の委員長任命牌を手渡した。