在日韓国人2世の芥川賞作家、李良枝(イ・ヤンジ)さんが92年に亡くなって30年。都内で22日、「李良枝没後30年エッセイ集出版記念の集い」が開かれ、約50人が参加、思い出を語り合った。
李良枝は1955年、山梨県に在日韓国人の両親のもとに生まれた。早稲田大学社会科学部中退。大学在学の頃に伽倻琴、韓国語、韓国舞踊を習い始め、80年から東京と韓国の往来を繰り返す。ソウル大学校国語国文学科に入学し、小説「ナビ・タリョン」を文芸誌『群像』に発表。88年にソウル大を卒業し、翌年に小説「由熙」で芥川賞受賞。92年、東京で長編「石の聲」の執筆に専念していたところ病に倒れ、5月22日に急逝。享年37。
在日韓国人として、韓国と日本のはざまを生き、在日のアイデンティティーとは何か、自らに問いかけた作品は高く評価され、韓国語・中国語・ドイツ語などにも翻訳、在日・韓国・日本の読者のみならず、海外でも広く読まれた。
家族は彼女が生きていた証しとして東京・新大久保にあるビルの屋上に「良枝コーナー」をつくり、著書と写真を展示、追悼の集いを開いてきた。新型コロナによって中断していたが今回、3年ぶりに開催し、合わせて「ことばの杖李良枝エッセイ集」(新泉社)を出版した。
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