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2003/10/17

<トピックス>故高円宮殿下が見た韓国 -第24回-

  • 高円宮妃殿下

                     高円宮妃殿下

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    仏国寺の守り神、チャンスン。高円宮殿下は頭から木が生えている構図が面白くてシャッターを押された

◆ チャンスン ◆

 仏国寺の守り神、チャンスン。高円宮殿下は頭から木が生えている構図が面白くてシャッターを押された(写真:上)

 これは石窟庵から降りてきたところにあった長丞(チャンスン)です。改めてみると、頭から木が生えているようにみえますね。

 村の守り神・長丞を最初に見たのはソウルの三清閣です。トーテムポールに似たものがいくつも置いてあって、遠くからではありましたが、よく見ると全部違った顔や表情をしていました。しかし、私が感激していろいろ質問している割には、案内してくださった方の説明は淡々としたものでした(アフリカで最初に見たシマウマの群れに過剰な反応をしたときも同じでした)。その後、湖巌美術館でもいくつか見ましたし、運転中も思わぬところにたっている長丞をたびたび目にしました。実は結構どこにでもあるものなのですね。

 たいてい一対になっているようですが、単独のもの、天下大将軍、地下女将軍と書かれているもの、石でできているものや木でできているものと、いろいろあるようです。天下大将軍は地上の、地下女将軍は地下世界の偉大な神で、寺院の門を守る狛犬や獅子が「阿吽」なのと、発想は同じだとおもいます。長丞は200年以上の歴史をもっているのだそうで、村の守護のほかに国家安泰や疾病よりの保護、日常的な祈りなどいろいろとお願いすることができる身近な神様のようですね。

 もともとは法首(ポッス)と呼ばれ、道教思想である「長寿不死」からきたそうで、「長寿」が発音しやすい「チャンスン」に変わったということでした。

 写真でもおわかりいただけるように、この長丞は見開いた大きな目と独特な大きな口をしています。帽子をかぶっているのも他で見ましたが、それはとても出っ歯につくられていました。だいたいギョロ目と大きな鼻や口は特徴だと思い、東京に帰って資料を見たら、長丞の顔つきには二通りあることが判明いたしました。ひとつは守護者やお化けの顔、もうひとつは大衆の自画像だそうです! 少なくとも、私の見たもののなかに大衆の自画像があるとはちょっと思いたくないですね!(高円宮妃殿下)