◆ 大韓赤十字社 ◆
大韓赤十字社本部の資料展示室で説明を受ける高円宮殿下と高円宮妃殿下(写真:上)
この写真はソウル市内の南山山麓に位置する大韓赤十字社本部を訪問した時のものです。私たちは張貞子(チャン・チョンジャ)副総裁と李榮求(イ・ヨング)事務総長に出迎えていただきましたが、車から降りたときに、ハッと思いました。それは副総裁のお顔に見覚えがあったからです。
実は副総裁とは、以前に少なくとも二度お目にかかっておりました。1998年のフランスでのFIFAワールドカップ、そして日本で行われた日韓の試合です。韓国サッカー協会鄭夢準(チョン・モンジュン)会長の伯母さまに当たる方で、大のサッカー好きとおっしゃっておられました。予期していない時にこのようにお会いできると、何か懐かしいような嬉しい気持ちになるものですね。
さて、会議室にご案内いただいて、韓国の赤十字事業についてご説明をうかがい、ビデオを見せていただきました。韓国で最初の赤十字組織は1903年に発足しましたが、現在の大韓赤十字社は、解放後の1949年に大韓赤十字社組織法の交布により再組織されたもので、総職員数は2,700人だそうです。
救護活動、社会奉仕、医療・特殊福祉事業、献血事業、地域保健、青少年赤十字活動、国際災害民救護活動など日本赤十字社の活動と基本的には同じです。日本赤十字社は皇后様に名誉総裁をお願いしており、私は他の妃殿下方とご一緒に名誉副総裁としていろいろな大会に出席する際、これらの活動についてはよく耳にいたしておりますが、宮様はとても熱心に説明をお聞きになっていらっしゃいました。
この後で、資料展示室に行き、大韓赤十字社事業をパネルで説明していただきました。年表などもとても興味深く拝見いたしました。日ごろから赤十字事業に携わっていらっしゃる方々の福祉と救護に対する弛みないご努力には頭が下がります。
また、南北離散家族問題、北朝鮮同胞支援、在サハリン「韓国人」のための母国訪問事業および永久帰国事業などいろいろな面で難しい課題に関して、日本赤十字社でも一所懸命協力させていただいているとわかって嬉しく思いました。サハリンに朝鮮文化会館のような図書や文化行事の施設を建てるという企画もあり、最近になって、その土地も決まったとのことです。
ゆっくりとした進行度合いではあっても、解決していかなければならない課題に大韓赤十字社や日本赤十字社が日々取り組んでおり確実な成果を挙げています。また、その姿には心強いものがあります。「人道と博愛の精神」とは民族的、宗教的そして政治的なものを超越した、世界の赤十字運動に参加するすべての人の掲げている理念ですが、その言葉のもつ意味をより深く考えさせられた訪問でした。(高円宮妃殿下)