韓国政府は、知能型電力網「スマートグリッド」構築に向けて、時間帯別計量や需給間の双方向通信ができる「スマートメーター」を全家庭に支給する。2020年までに1兆4740億ウォンを投入して旧式の電力量計を取り替える。
スマートグリッドは、IT(情報技術)通信技術とセンサー技術を駆使し、既存の電力システムを効率的に運営することで、電力安定供給の強化を図るものだ。家庭や事業所、電力網上の機器にセンサーを設置し、ITとデジタル通信技術によりリアルタイムで電力網の詳細な状況と電力消費を把握できるようにする。これにより、電力会社と消費者双方で消費データを共有、管理できるようになる。
スマートメーターは、電力使用量のみ表示される従来の計量器と異なり、現在の電気使用量や料金なども確認できる。また、各事業所や家庭からメーターを通じて送られてくる電力量データに応じて、エアコンなどの機器の出力をインターネットやサーモスタットで遠隔調整することも可能だ。電力網の状況を瞬時に把握して、停電の早期探知や電流ルートの変更などを自動化させることで、電力供給の安定化を図る仕組みだ。
現在、韓国では高圧電力を使用する16万カ所の事業所にスマートメーターが導入されているが、低圧電力を使用する小規模事業所と一般家庭1800カ所には機械式電力量計のみ設置されている。知識経済部は、来年から10年間でこれら旧式の電力量計をスマートメーターに入れ替える計画だ。
この事業を進める韓国電力公社は、低価格の経済型とピーク管理などの付加機能を追加した一般型の2種類のスマートメーターを開発した。経済型(2万ウォン)は、電気消費量が1時間当たり300㌔㍗未満の一般家庭向けに1000万台が支給される。一般型(5万ウォン)は1時間に300㌔㍗以上の電力を使う住宅や商店向けに800万台が支給される予定だ。一般型は15分ごとに電気料金を遠隔操作で計量できる。
知識経済部は、現在7年となっているスマートメーターの交換寿命を10年に延ばすような技術的な改良を加えることをメーカーに求める方針だ。
さらに電気だけでなく、都市ガスや熱、水道水などの使用量を一括して検針する案も検討対象となっている。検針などに必要な重複投資を減らし、業務の効率性を高められる。知識経済部関係者は、「スマートメーターの代替により、検針費用やエネルギー節約で年間3444億ウォンの経済効果が期待できる」と説明している。
第1段階として、来年にスマートグリッド実証団地が建設される済州道(チェジュド)の旧左邑(クジャウプ)地域3000世帯にスマートメーターが設置される。この地域で統合検針事業を進め、その成果を検証した後、実施地域を全国に拡大する計画だ。