G20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が先週末に釜山で開かれ、南欧の財政危機で世界経済には「重大な試練が依然残っている」として、財政健全性を求める共同声明を採択した。議長国の韓国は、途上国にとって必須のグローバル金融安全網の構築の必要性と成長中心の開発の必要性を説き、会議をリードした。
共同声明に盛り込まれた主な内容は、①グローバル金融安全網に対する必要性を認め、国際通貨基金(IMF)の融資制度改善を含めたさまざまな政策代案を模索する②深刻な財政課題を抱える国への財政構造調整を促すと同時に、財政健全化措置を講じる③銀行税など金融機関の分担案と関連しては、納税者保護など5つの要因を反映した原則を整える④11月にソウルで開かれるG20首脳会議までに金融健全性を高める基準を提起するというもの。
今会議を主宰した尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)・企画財政部長官は冒頭、「世界経済が回復の勢いを見せている中、南欧の財政危機のような不安材料があり、世界的な協力が必要だ」と強調。これを受けて、各国の財政問題を重点的に協議、ギリシャからスペイン、ハンガリーと広がるユーロ圏の財政危機のため「世界経済は予想より速いペースで回復が続いているが、最近の金融市場の不安定さは重大な試練が残っていることを再認識させる」との認識で一致し、財政再建を打ち出したことが前回会議との大きな違いだ。これにより、「金利引き上げなど出口戦略に影響が出るのは必至の状況となった。
争点の銀行税は、推進派の米英に対してカナダ、豪などは「必要ない」との立場をとっており、完全合意に至らなかった。妥協案として金融システムの復旧や整理のための財源調達に向け政府介入があった場合、その費用を金融圏が公正かつ実質的に分担することで一致をみるにとどまった。
今回の会議での大きな成果の一つは、グローバル金融安全網の改善に向けた政策代案の模索に合意した点だ。会議後の共同記者会見で尹長官は、「先進国と新興・途上国間で意見の違いがあるが、韓国の調整で溝はかなり狭まった」と指摘した。韓国は今回の会議で、「不況時に外資が急激に流出する危機に備え、不必要に多くの外貨準備高を積み上げている」として、これに代わる代替案が必要だと訴え、米英との個別財務相会議でも説得を試みた。これにより、11月のソウル首脳会議までに具体策を出すことになった。
一方、釜山ではG20財務相・中央銀行総裁会議にあわせて、ソウルG20首脳会議準備委員会と世界銀行の共同主催で「危機後の成長と開発」をテーマにした国際会議が開かれた。この会議で司空壹(サゴン・イル)同委委員長は「(発展途上国のため)成長中心の開発を、11月のソウル首脳会議の議題として上程する」と明らかにした。
司空委員長は、「先進国と途上国間の格差を縮めなければ、世界経済は持続不可能だ」として、「G20は、国連加盟192カ国のうち、残り172カ国の支持を必要とするが、そのためにも開発格差は解消しなければならない」と強調した。
釜山で開かれたこの2つの会議では韓国が明確に打ち出したのは、途上国の発展のために成長路線をとる必要性と、先進国が支配する世界経済の変動が途上国に及ぼす影響を最小化するとの認識形成だ。G20ソウル首脳会議の前哨戦となる今回の会議で、先進国と途上国間の懸け橋ができるきっかとなったようだ。