李明博大統領は15日、ソウルの光化門広場で行われた光復節65周年記念式で、「ともに歩む国民、より大きな大韓民国」と題した22分間の慶祝辞を読み上げ、①弱者が再チャレンジできる「公正な社会」の実現②平和統一を目標とする3段階統一ビジョン③「統一税」の新設構想④改憲論議など政治先進化の努力⑤新たな100年に向けた対日政策などを提示した。各分野別に提案内容のポイントをみてみよう。
今回の慶祝辞で最も多くの時間を割いたのは「公正な社会」実現だ。李大統領はこれを政権後半期の国政運営の中核的な価値として提案した。「出発点の平等を保障し、結果の責任を負う」ことを前提に「勝者が(利益を)独占せず、地域と地域がともに発展し、労使が協力して発展し、大企業と中小企業が共存し、庶民と弱者が不利益を被らない社会」と定義し、「市場経済に必要な倫理の力をさらに育み、規範化すべきだ」との考えを示した。続けて、「公正な社会こそ大韓民国先進化の倫理的、実践的インフラだ。今後、わが社会の全領域で公正な社会という原則が固く順守されるよう最善を尽くす」と述べた。
経済危機の克服過程で起こった「貧富の格差」を公正な社会という新たな価値の実現で解決しようという発想だ。
次に平和統一3段階ビジョン。李大統領は「現在の南北関係は新たなパラダイム(枠組み)が求められている。与えられた分断状況の管理を超え、平和統一を目標とすべきだ」と主張し、平和共同体、経済共同体、民族共同体の順で移行する統一案を提案した。
まず韓半島の非核化を前提にした平和共同体を構築した後、南北間の包括的な交流・協力で経済統合を準備する経済共同体、韓民族の尊厳と自由などの基本権を保障する民族共同体の順で平和統一を実現しようという構想だが、これまで「分断管理」を優先してきた消極的な姿勢から脱皮、積極的な「統一準備」に転換したことが注目に値する。
青瓦台(大統領府)関係者は、「この3段階の統一案は基本的に94年に金泳三(キム・ヨンサム)政権時代に提案した民族共同体統一構想を継承したものだが、当時は平和共同体と経済共同体が同時に進行可能な概念だった半面、李大統領の統一案は非核化の重要性を勘案し、平和共同体への移行が必ず先決されるべきだとした点が異なる」と説明した。
慶祝辞のハイライトは統一税の新設構想。李大統領は、「統一は必ず来る。その日に備え、統一税など現実的な方策も準備する時となったと考える」とし、この問題を韓国社会の各界で幅広く論議することを提案した。この提案は、積極的な統一推進のためには一定の費用の支出が避けられないとの判断によるが、それを大統領自ら提案することで、統一問題を公論化した。当初、この統一税は、一度は文案から削られたが、土壇場で李大統領が復活させたといわれる。
李大統領は憲法改正、選挙制度と行政区域の改編など政治先進化に向けた課題についても触れ、「急変する時代に足並みをそろえ、未来に備えることができるよう一日も早く課題を推進すべきだ。憲法改正も国会で論議が可能だろう」との見方を示した。
現在、韓国内では大統領に外交・安保を担当し、経済など内政は国会が選出する総理が担当する大統領と内閣の役割分担論と大統領任期を現在の1期5年から2期4年に変更する改憲論議がある。
11月にソウルで開催されるG20(主要20カ国・地域)首脳会議に関連しては、「先進国と開発途上国がともに繁栄できる協力の場にしたい」と述べ、これは「公正な地球村」に向けた韓国の提案だ」と明らかにした。
韓日併合100年にあたり日本の菅直人首相が発表した首相談話について、李大統領は「日本の一歩進んだ努力と評価しようと思う。日本政府は首相談話を通じ「初めて韓国国民に対し、韓国人の意に反した植民地支配を反省し、謝罪した」と評価した。その上で、「乗り越えるべき課題もまだ残っている」とし、「韓日両国は具体的な実践を通じ、新たな100年をつくっていかなければならない」と述べた。対日関係の演説はわずか1分で終わった。