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2010/11/05

<トピックス>新時代ひらく交流・協力 第2回 韓日産業技術フェアの意義                                HISOFT 奇 秉泰 会長

  • HISOFT 奇 秉泰 会長

    キ・ビョンテ 1933年、韓国仁川市生まれ、ソウル大学卒。経営学専攻。釜山銀行大阪事務所所長、大韓空調(韓日合弁企業)社長を経て現在、HISOFT会長、韓国貿易協会理事、韓日協力委員会運営委員、韓日経済協会会員、PHP研究所友の会国際交流会副会長

◆戦略的提携で共に成長を◆

 9月29―30日にソウルのロッテホテルで「2010韓日部品素材調達展示商談会―韓日産業技術フェア―」が開催された。韓国の知識経済部と日本の経済産業省が主催し、両国の産業・技術協力財団が共同主管した経済技術交流イベントだ。このフェアは通称「逆見本市」と呼ばれている。見本市は「売りたい物」を展示するが、「逆見本市」は、企業が「買いたい物」を展示し、それを製造、提供できる部品・原材料メーカーを発掘しようという事業だ。両国から500名の企業家が参加し、韓日産業協力功労者の表彰式や部品素材商談会(自動車・機械プラント、電気電子、金型)が実施され、モノづくり・環境エネルギーなどをテーマにセミナーが企画された。

 今回の特徴は、円高の影響もあり韓国で部品調達先を探している日本企業が100社以上参加したことだ。また、部品素材分野での協力のため、「見本市」が産業技術フェアと同時開催された点が挙げられる。したがって、部品素材分野における技術提携や調達・供給などが、単なる取引の次元から両国の共生協力へと発展するうえで意義が大きかったといえよう。

 韓日産業協力セミナーでは、「21世紀、ニュービジネス創造のための経営戦略」をテーマに、環境・エネルギー、ニュービジネス、モノづくり分野で成功した経営者が経験やノウハウを披露した。これら成功事例の紹介は、競争が激しさを増しているグローバルな経営環境の中で、原材料価格の高騰によるコスト上昇圧力を受けている企業を対象に、新技術開発の糸口や経営ノウハウを提供し、新分野進出や販路開拓、ニュービジネスモデルの創造を支援しようというものだ。

 講演「無から有を生み出す開発・創造型企業」では、㈱パイオニア風力機・戸次英之社長が、自社の事業内容を説明した。戸次氏は、クリーン環境機器総合メーカーとしての経営理念について語った。それは、「パイオニア(開拓者)精神を持って社会のニーズとビジネスシーズ(種)を見出し、社会に貢献する」という非常に印象的なものだった。

 また「限界を超えた超薄肉・超微細プラスチック製品を可能にする技術は人づくり」と題して講演した㈱かいわ・山添重幸社長は、「普通の人が普通の設備で普通でないものを作り出す」企業の人材育成システムを紹介し、深い感銘を受けた。

 韓国からは、アモテック社の金炳圭(キム・ビョンギュ)代表が演壇に立った。同社は新素材を基盤とし、情報通信、エネルギー分野の核心的部品を開発し世界から注目されている。「セラミックチップ」部品の開発をはじめ、「最初の技術・最高の技術」をコンセプトに邁進している企業だ。

 3つの事例発表は、企業の成長戦略を模索し、国際競争力を高める上で、示唆的であった。

 部品素材調達・供給商談会は、日本から100社が集まり、大手自動車メーカー11社の関係者の顔もあった。韓国からは、中小企業400社が参加した。企業別の商談室では熱気を帯びた意見交換が繰り広げられた。

 一方、技術指導マッチングのコーナーでは、日本のシニアエンジニアを韓国の中小企業の技術顧問として迎え入れ、部品素材分野の設計や品質管理でタイアップする問題などが話し合われた。

 最近、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)の報告によると、韓国から部品を購入する日本のバイヤー429社にアンケートを実施した結果、韓国との取引経験が3年超の企業は71・5%であった。韓国製品に対する満足度調査で、部品の機能面8・3点、企業の信頼度8・2点、品質8・1点と、高い評価を受けた。

 また、30・5%の企業が「今後、韓国との取引を拡大する」と回答しており、「縮小する」は1・2%であった。この結果からも韓国製部品の日本輸出は拡大していくと見通される。

 今回の韓日産業技術フェアを通じて、両国の企業交流において新たな可能性を確信することができた。韓日企業が戦略的に提携すれば、国際競争力を高め、グローバルなビジネス展開を通じて共に成長していけると確信した。