LG電子が1日、本社と海外法人とを含めた大規模な組織改編に踏み切った。「組織のスリム化」と「スピード経営」で、2期連続の営業赤字に陥った経営再建が狙いだ。組織改編の特徴は、本社組織のスリム化と事業本部別の迅速な意思決定にある。CEO(最高経営責任者)直属の経営革新部門とグローバルマーケティングを新設、具本俊(ク・ポンジュン)副会長体制を強化した点も特徴だ。今月中旬の昇進人事で来年に向けた組織改編が完了する。
今回の組織改編で、企業用市場を担当するBS事業本部を廃止、現行の5事業本部・15事業部を①MC(携帯電話など)②HE(テレビなど)③HA(家電など)④AE(エアコン・エネルギー)の4事業本部・16事業部体制に変更。廃止されるBS事業本部傘下のモニターやソリューション事業部は、HE事業本部に組み込まれる。従来のAC事業本部は、新成長エンジンである太陽光やLED(発光ダイオード)照明事業も担当するAE事業本部に名称変更された。
LG電子は、今回の組織再編の主眼を①事業本部中心の完結型体制②徹底した未来への準備③経営革新の加速化におき、事業をリードする4つの事業本部に権限を集中させ、責任を明確にすることにしている。これにより、事業本部とは別に、本社で最高人事責任者や最高マーケティング責任者などとして権限を振るっていた副社長クラスの外国人経営陣5人全員を退陣させる。
また、8つの海外地域本部は「地域代表」へと名称が変更され、各事業本部の指示で動くことになる。これまで、海外地域本部も海外事業に関与してきたが、今後は事業の意思決定には関与せず、組織管理などが主要任務になる。
経営悪化の責任をとって9月にCEOを辞めた南鏞(ナム・ヨン)前副会長は、グローバル化を加速し、組織体系を先進化するとの目標のもと、海外主要企業で経歴を積み重ねた外国人役員をスカウト。本社に9人の副社長級の最高責任者を置いたが、このような「人事実験」は事実上失敗した。LG電子内部では外国人役員との意思疎通がうまくいかず会議の能率が下がり、意思決定が遅れるとの不満があった。外国人役員は韓国人職員で構成される組織を十分に把握できなかったとの指摘もある。
後を継いだ具本俊副会長は、10月1日の就任直後からスピードと実行力を強調してきた。2つのCEO直属部門を新設したのも、具副会長の考えを理解し迅速に実現するシステムが必要だったからだろう。
特に、LG電子がスマートフォン(高機能携帯電話)で遅れをとり大きな打撃となったのは、意思決定速度がビジネス環境の変化に対応できなかったからだとの反省がある。
市場の動きに迅速に対応する意思決定システムが何よりも重要と考えた。具本俊副会長は、LGグループの具本茂(ク・ボンム)会長の実弟であり、今回の組織改編でオーナー体制が強化する見通しだ。
今回の組織改編で、4つの事業本部は商品企画から生産、海外販売まで事業と関連する全ての部門を管轄し、責任経営が徹底される。
これまでは、海外事業に海外地域本部が深く関与したが、今後は事業の意思決定は事業本部が行うことになり、事業本部の責任と権限が重くなった。当面して、現場中心の製品開発とマーケティング活動を強化する方針だ。
一方、事業本部の中で、携帯電話などを担当するMC事業本部は、本部長直属でタブレット事業部を新設した。来年から本格化するタブレット市場で、スマートフォン市場でのような失敗を繰り返さないための措置だ。また、未来事業への準備として、コンプレッサー、モーターなどの部品チームを事業部に、太陽光生産室、ヘルスケア事業室などを事業チームにそれぞれ昇格させた。
LG電子関係者は、今回の組織改編は徹底した未来の準備のため経営革新を加速化し、事業競争力を強化することに焦点を合わせていると説明しているが、計画通りの効果をあげられるのか注目される。