対外的に見た経済条件は肯定というよりも、否定的な流れを見せている。米国など主要国の景気回復は遅れており、中国は来年の金融政策を引き締め方向に転換することを決めた。財政危機に瀕したヨーロッパの低成長も避けられず、為替戦争の不確実性も高まっている。
また、過去と違って先進国が景気回復のための活路を輸出部門で模索することで、輸出競争が激しくなる見込みだ。対外依存度の高い韓国経済の2011年経済予測も、これらの対外的要素の流れに大きく左右されるだろう。財政均衡を達成するための努力を持続させて、金利正常化の必要性も検証しているが、景気低迷から脱出する政策の効果は弱まるだろう。最近の不動産の景気下落傾向も、2011年の景気に否定的な要素として作用すると予想される。
これらの要因によって、今年の韓国経済成長率は、2010年(6・1%)を下回る4・1%になると見込まれている。しかし、10年間(2001~2010年)の平均成長率が、4・2%である点を考えた場合、今年の成長の勢いは、潜在成長率に迫る水準にあると評価できる。
今年の経常収支黒字額は、商品収支黒字の縮小、サービス収支の赤字拡大などで2010年に比べて半分以上も縮小した132億㌦になると見込まれる。商品収支の黒字縮小は、先進国の財政健全性の強化、家計負債の調整にともなう需要の減少、中国の財政緊縮、競争激化などの影響によって輸出が大きく鈍化していることに起因する。また、韓国のサービス産業は「低生産性」という構造的な問題を抱えており、赤字の拡大傾向は今年も続く見込みだ。
今年の物価は、韓国銀行の物価安定目標である3%台となり、安定傾向を維持することが予想される。成長率が潜在成長率水準を維持し、需要側の物価圧力もそこまで大きくないだろう。また、費用の面でも国際原油の緩やかな上昇とウォンの切り下げなどを考えた場合、上昇する要因が少なからず見えてくる。
市場金利は基準金利引き上げの影響を受けるが、上昇幅とそのスピードは制限されるだろう。まず、基準金利引き上げは、対内外の不確実性によって慎重な動きを見せると予想される。物価上昇圧力もそれほど高くないと見られるからだ。 また、外国人資金の債権市場への流入が持続すると予想される点も、市場金利の上昇を制限する要因になるだろう。
ドルに対する為替レートは、ウォン高を持続して今年は年平均1㌦=1100ウォン以下になると見込まれる。経常収支黒字の持続、外貨流動性の改善、外国人の資本流入増加などでドル供給において有利な状況が予想される。基準金利引き上げも国内外金利差の拡大と外国人資金流入を通じて、韓国ウォンの価値を上昇させる要因になるものと見られる。