政府は今年、5%成長と貿易1兆ドルを達成し、韓国経済をさらに浮揚させる計画だ。世界で9番目の貿易1兆ドルが目前の韓国経済の実力はどの水準にまできたのだろうか。昨年の主要数値をもとに経済力を推し量ってみた。
韓国経済は昨年、6・1%の経済成長をとげ、名目GDP(国内総生産)が1兆㌦の目標を達成し、経済規模は世界13~14位に上昇した見込みだ。このペースで行けば、今後5年内に現在11位のスペイン、12位のオーストラリアを追い抜きそうだ。
成長を牽引したのは輸出だ。昨年の輸出実績は前年比8・6%増の4674億㌦を記録、イタリア、ベルギーを抜き世界7位の輸出大国になった。輸出増大に最も貢献したのは半導体で、単一品目としては初めて500億㌦を突破した。船舶(497億㌦)、自動車(354億㌦)、液晶パネル(338億㌦)も貢献度が大きかった。また、貿易黒字も過去最大の417億㌦を記録した。
今年は輸出見通しが前年比9・8%増の5130億㌦、輸入は14・6%増の4880億㌦で、貿易規模は1兆㌦を超える。実現すれば1951年の貿易1億㌦達成から60年ぶりの大記録となる。これまで1兆㌦を達成した国は米国、ドイツ、中国、日本、フランス、イタリア、英国、オランダの8カ国にすぎない。
外貨準備高は昨年末現在で2915億7000万㌦を記録、運用収益などで1年間に215億8000万㌦増えた。昨年11月末現在で韓国の外貨準備高は、中国(2兆6483億㌦)、日本(1兆1010億㌦)、ロシア(4831億㌦)、台湾(3793億㌦)、インド(2924億㌦)に次いで世界6位だ。
一方、物価動向をみると、年平均の消費者物価指数は前年に比べ2・9%上昇にとどまり、目標とする3%以内で安定した。しかし、生鮮食品指数は、異常気象などの影響で前年比21・3%上昇し、2000年以降で最高となった。また、雇用動向は、昨年の就業者は前年比32万3000人増え、6年ぶりの高水準となった。これは景気好転で生産、投資、輸出が好調を示した結果だ。失業率は3・7%で、失業者が92万人を記録した。90万人を超えたのはこれが初めてだが、これまで就職をあきらめていた人たちが求職活動を開始したため統計上失業者が増加したことになる。
世界市場での韓国パワーは各種受注にも発揮され、昨年の海外建設工事受注額が過去最高の715億7000万㌦を達成した。これまでの最高だった09年の491億5000万㌦を大きく上回る。中東を中心に91カ国・地域から588件の工事を受注。特に、プラント(産業設備)が受注の80%を占めた。国土海洋部は14年までに1000億㌦規模を受注し、世界5大海外建設強国入りをめざすと目標を掲げた。今年の海外プラント受注目標は700億㌦に設定されている。
観光産業も活況を呈している。昨年は外国人観光客の訪韓数が880万人を超える過去最大を記録、前年の782万人を約100万人上回った。韓国観光公社は今年中に12年の目標1000万人突破も可能とみている。78年に100万人突破から30余年で10倍も増え、「貿易立国」に並ぶ「観光立国」の顔もみせることになる。
韓国産業の中で、自動車の躍進がめだった。現代自動車を筆頭に完成車メーカー5社の昨年の販売台数は、684万3122台(国内145万7962台、輸出538万5160台)を記録した。前年比25・7%の大幅増だった。現代自がその半数以上の360万8442台(国内65万9565台、海外294万8877台)を販売。系列の起亜自は国内で48万4512台を販売、現代自への追い上げが目立った。
GM大宇(75万1453台)、ルノーサムスン(27万1481台)、インドの自動車大手マヒンドラ・アンド・マヒンドラに買収された雙龍自動車(8万1747台)もいずれも販売台数を大幅に増やした。
現代・起亜自動車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長は、今年は2社で国内外合わせ633万台を生産・販売するとの目標を掲げ、世界4大メーカー入りをめざし攻撃経営を開始した。
韓国を代表するグローバル企業のサムスン電子は昨年、売上高153兆7600億ウォン、営業利益17兆2800億ウォンを記録。半導体や液晶ディスプレー事業が大幅伸長したほか、3D(三次元)対応テレビやスマートフォン(高機能携帯電話)市場も席巻し、年間業績は営業利益、売上高ともに過去最大となった。昨年の売上高をドル換算すると約1370億㌦。2020年までに年間売上高4000億㌦をめざしている。
英国の技術革新・大学・技能省が発表した世界的企業1000社の09年の研究・開発(R&D)投資ランクで、サムスン電子が10位をマークした。さらに、電子・機器産業分野では1位についた。