◆ソウル中央郵便局での発見◆
2007年に落成した明洞(ミョンドン)のソウル中央郵便局、ポスト・タワーは、その独特の外観からソウル市民の間では「Mタワー」と呼ばれているそうだが、僕などはウルトラマンに登場するバルタン星人を連想する。(写真①)
ソウルに滞在中、切手を買いに中央郵便局を訪れる人は少なくないと思うが、時間があったら地下の展示スペース「切手文化」の世界も覗いてみたらいい。
都心の一等地の展示スペースなので、どうしても規模が小さくなるのは仕方ない。ただ、全体的にデザインは洗練されていて、CG映像を使った韓国の切手と郵便の歴史を解説するコーナーやクイズ・コーナーなどがあって、切手を集め始めたばかりの人やこれから集めようという人も十分に楽しめるよう工夫されている。
場所柄、デートスポットとして使うもよし、社会科見学の小学生を連れてくるもよし、という感じだ。
ただし、ここの展示はただ単に「楽しい切手」というだけではなくて、写真②のようなモノもある。
これは、切手パズルのパネルのうち、2004年発行の竹島切手を使ったバージョンのもの。写真③として、その拡大図を紹介する。それぞれの切手の部分がいくつかに分割されていて、回転させて絵合わせとして遊ぶというスタイルのものだ。
また、切手で見る韓国というような地図パネルもあって、しっかりと「独島は韓国領だ」ということが宣伝されている。
韓国は「(彼らの言う)独島」を実効支配しているという実績を踏まえ、その領有権を国際社会に向かって声高に訴え続けるとともに、国民に対しても徹底して教育している。
しかし、これは彼らの主張の当否は別として、領土問題を抱える国としては、ある意味で当然の対応といってよい。
国際社会というのは基本的には弱肉強食の世界だから、沈黙は金という日本的な価値観は全く通用する余地がない。一方が声高に主張し、他方が黙っている(ようにみえる)という状況では、声高に主張している方の言い分は、それがどんなに理不尽なものであろうとも(というよりも、実際には、理不尽であるからこそ、彼らは声高に叫ぶのだが)、黙っている(ようにみえる)側を圧倒してしまうものだ。
今年もまた、2月22日の「竹島の日」がやってきた。
そもそも、「竹島の日」があるということを認識している日本人はごくごく少数派だろう。
いわゆる嫌韓感情ではなく、主張すべきことは主張するという意味で、日本も竹島切手を出してほしいと僕は痛切に願う。
もちろん、韓国側はかなりの反発をするだろうが、まずはお互いが正面からぶつかりあわなければ、物事は何も進まない。
かつてマリー・ローランサンは「いちばん哀れなのは忘れられた女」と詠った。
毎年、この時期になると、「独島」を忘れない韓国人と竹島を忘れてしまっている(かのように見える)日本人の温度差がどうも気になって仕方がない。