韓国と湾岸産油国のUAEは13日、埋蔵量が10億バレル以上のアブダビ油田開発に韓国企業が参入できる権利を保障したMOU(了解覚書)を結んだ。来年に本契約を締結する。韓国がこれまでに結んだベトナム鉱区(1億バレル)をはるかに超える過去最大規模の油田開発契約であり、これで李明博大統領就任当時に4%だった韓国の石油・ガス自主開発率は15%に拡大することになった。
MOUは、UAEを公式訪問中の李大統領とハリファ・ビン・ザイード・アール・ナヒヤーンUAE大統領の首脳会談の後、韓国石油公社とアブダビ石油公社間の石油ガス分野協力開発のMOUとして結ばれた。署名式にはムハンマド皇太子も参席した。
韓国が採掘権を得た10億バレルは、現在の原油価格で単純計算すると、約110兆ウォン。韓国で消費する1年5カ月分に相当する。アブダビは、世界6位の埋蔵量(約1000億バレル)を有する油田の宝庫。米国、英国、フランス、日本などごく少数の石油メジャーだけが進出してきた。
また、別の鉱区の主要条件契約書も結ばれた。これは、本契約に先立ち主だった条件について事前合意したもの。今回の対象となる鉱区では5億7000万バレルの原油埋蔵が確認されており、韓国が最大100%まで権益を確保できるという条項が盛り込まれている。これで韓国は、独自の油田開発と運営が可能になる。この鉱区で生産される原油のうち韓国の保有物量については、有事に100%韓国に導入できる権利を確保した。本契約は年内に結び、13年から本格的な生産に入る。韓国は今後、最大で1日3万5000バレルを生産できるものと期待している。これとともに、エネルギー安保に向けた補強策として、韓国とUAEは、アブダビ原油600万バレルを韓国の備蓄施設に無償で貯蔵し、有事に韓国が使用できるようにすることで合意した。今契約は、韓国が確保している油田のなかでは単一で最大というだけでなく、過去30年間かけて確保した約60件のすべての埋蔵量の半分を超える。
原子力発電所の建設契約に次ぐ今回の快挙には、両首脳の信頼関係も大きかった。昨年5月にムハンマド皇太子が訪韓した際、李大統領は「両国の真の協力は原油1滴も出ない韓国に油田開発に参加する機会を与えることが出発点」という考えを伝えた。これにムハンマド皇太子は、「大統領の親書を希望する」とした。李大統領は、「韓国は100年先を見据えたアブダビの経済協力パートナーである」という内容の親書を送った。
◆韓国製原発を起工・UAEブラカ◆
UAE(アラブ首長国連邦)のブラカで行われた韓国製の原子力発電所起工式が行われた。李明博大統領が09年12月に同国を訪問した際、韓国電力公社主導の企業連合が発建設工事を受注した。
起工式で李大統領は、「韓国企業が最高レベルの原発をUAEに建設し、中東地域の良いモデルになるだろう」語った。ムハンマド皇太子は、「原発協力は両国パートナーシップ構築の礎石となる」と評価した。
李大統領は、ムハンマド・アブダビ皇太子とともに、タイムカプセルに入れる記念文書にサインし、記念品の除幕式などを行った後、工事現況について説明を受けた。
原発工事発注元のUAE原子力公社(ENEC)は、昨年7月にUAEの原子力規制機関から用地準備の許可を受け、現在は基礎作業や事務所など建設基盤施設の工事を進めている。