韓国経済は、下半期(7―12月)に成長速度がやや回復する見通しだ。だが、当初目標の5%成長は断念した。政府はこのほど、下半期経済政策を発表し、今年の経済成長率見通しを4・5%に下方修正した。最大の理由は物価不安にある。年初から消費者物価が目標を上回る4%台の上昇を続けており、舵取りを成長から安定に切り換える必要性に迫られたからだ。
朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官は、今回の下半期経済政策について、「マクロ政策の優先順位を物価安定におき、総需要管理を強化する」と語った。政府が選択した経済政策のキーワードは安定と緊縮だ。需要が増え、景気が過熱化しないように財政、金利、為替などを管理するというものだ。従って、金利は今後さらに上がる可能性が高い。
消費者物価は2月から5カ月連続4%を超え、所得の二極化も深刻化している。名目所得は増えているが、実質所得は持続的に減り、負債が増大している。雇用率は改善しているが、青年失業問題は依然深刻という現実がある。物価を安定させ雇用を増やすことが最優先課題になっている。
対外環境も厳しい。世界経済の成長率は昨年の5・1%から今年は4%台前半に下がる見通しで、中国のインフレ、南欧の財政危機、米国の第2次量的緩和終了などが重なった。原油価格は当初見通しの1バレル=85㌦から105~110㌦に上昇。韓国経済を牽引する輸出も今後は決して楽観できないが、EU(欧州共同体)とのFTA(自由貿易協定)が発効するなど好材料もある。
このような国内外環境を考慮して成長見通しを4・5%に引き下げたが、ちなみに第1四半期(1~3月)の成長率は4・2%にとどまっている。また、消費者物価上昇率は3%から4%へ上方修正し、雇用創出は年間28万人から33万人へ引き上げた。成長率を引き下げれば、雇用に影響を及ぼすだけに、サービス産業など内需振興策も必要だろう。
特に、物価をどう抑え込むかが大きな課題だ。下半期経済政策を立案した企画経済部は、今後景気が好転して消費が増え、物価引き上げへの圧力が高くなると見ている。このため、下半期に公共料金の引き上げ幅を最小限に止める方針だ。
来年は国会議員選挙、大統領選挙のダブル選挙の年だ。早くもポピュリズム政策警戒論が台頭し、財政支出増大圧力は高まっている。来年を見据えるなら、経済の安定基盤を確めることは下半期経済の重大課題だ。