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2011/07/29

<トピックス>統合資本市場法改正・大型の投資銀行誕生へ

  • 統合資本市場法改正・大型の投資銀行誕生へ

                    金 錫東 委員長

 金融委員会は26日、2年前に制定した統合資本市場法(資本市場と金融投資業に関する法律)の改正案を発表した。改正案は、1、一般の証券会社と一線を画す大型のIB(投資銀行)を国内でも認める2、韓国取引所のほかに「第2取引所」というべきATS(代替的取引システム)を導入して、取引所の独占体制を崩す――などの内容を盛っており、資本市場のビッグバンを予告している。立法予告の後、規制改革委員会や法制処の審査などを経て10月の通常国会に提出される予定だ。

 改正案によると、新たに導入されるIBの資格を得るには、個別会計基準で自己資本金3兆ウォン以上を保有することが条件となる。

 IB業務が認められれば、M&A(買収・合併)過程で買収資金を貸したり企業融資を行うこともできる。また、取引所を通じてなくても非上場株を売買し、ヘッジファンドなどを対象に証券を貸して資金を支援する専門的な仲介(プライムブローカー)業務も可能になる。

 このため、既存の証券大手はすぐにもIB業務に向けた準備作業に着手すると見られている。今年3月末現在、自己資本が2兆ウォンを超える証券会社は大宇証券(2兆8630億ウォン)、サムスン証券(2兆7990億ウォン)、現代証券(2兆6890億ウォン)、ウリ投資証券(2兆6280億ウォン)、韓国投資証券(2兆4210億ウォン)の5社。これら5社の自己資本の平均は2兆7000億ウォンだ。増資を経てIBに名乗りをあげることになりそうだ。

 IBの必要性について金融当局者は、「現在、国内の金融市場は新成長エンジンの中小企業に集中的な金融支援をしたり、韓国企業が外国で大型プロジェクトを受注する時に立体的に金融支援する土台が不十分だ」と指摘した。ちなみに、中小企業の資本市場を通じた資金調達比率は16・1%に過ぎず、多くを間接金融に頼っている。

 金錫東(キム・ソクドン)・金融委員長は、「世界金融危機以降、市場が安定を取り戻し、衝撃にも持ちこたえる体力が備わるようになった」として、「革新的な金融技法で企業の海外進出を後押しし、国際金融市場で通用する大型IBの出現が緊要な時点になった」と強調した。

 改正案はまた、韓国取引所のほかに株の売買が可能な代替的取引システム(ATS=Alternative Trading System)を認めている。ATSは、金融委の認可を受けて競争売買などの方式で売買締結などの機能を行い、出来高が一定規模以上に増えたら韓国取引所と競争できる取引所に転換可能だ。公益性を強化するため、ATSの1人当たりの株式保有限度を15%にしているが、金融機関は金融委の承認を得て30%まで保有できる。年内に改正案が通れば、来年下半期(7~12月)にはATSが実現する見通しだ。

 金融当局は、ATSの導入で株式市場にも競争原理が働けば、取引コストが減り、投資家により良いサービスが提供されると期待している。主要先進国は、すでにATS競争を通じて取引コストを減らしている。現在、欧米を中心に120ほどのATSが運営されており、米国は取引比率の42%を占めている。日本、香港、シンガポールなどアジアでも
導入されているが、取引比率は1・1%とまだ低い。ATSは株式市場の効率性を高めており、今後世界的な流れになりそうだ。

 専門のコンサルタント会社の調査によると、韓国取引所の取引費用は47カ国の取引所の中で38番目(08年)に高かった。金融委員会関係者は「ATSはあらかじめ準備しなければならない資本市場のスマートフォン(高機能携帯電話)のようなシステムだ。導入が遅れれば、韓国市場がノキアのように転落するかも知れない」と語った。

 だが、ATS導入については、十分な投資家保護策を講じなければならないという指摘も専門家からなされている。