ここから本文です

2011/11/18

<トピックス>韓国造船にLNG船旋風

  • 韓国造船にLNG船旋風

    韓国メーカーの受注が相次いでいるLNG船。1~10月で40隻を受注

 韓国造船業界が、LNG(液化天然ガス)運搬船の相次ぐ受注に湧いている。上半期(1―6月)は深海石油試掘用のドリルシップの受注でドルを稼いだが、下半期(7―12月)には受注が減少。代わってLNG船受注が稼ぎ頭になった。東日本大震災後、LNG需要が増え、これを運搬するLNG船が引っ張りだこになっていることが背景にある。LNG船受注は今後も増えそうだ。

 造船業界によると、1~10月に全世界で発注されたLNG船は45隻。このうち40隻を現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋、STX造船海洋の国内大手4社が受注した。90%近い受注率で、ほぼ独占状態だ。

 LNG船は、零下163度以下の低温で輸送するよう設計されており、高い技術を要する付加価値船だ。造船ライバルの中国はまだこの分野には参入できておらず、生産単価が高いため日本は価格競争力がない。このため、韓国メーカーの受注が相次いでいる。船価は1隻2億㌦に達し、韓国のLNG船受注額が合計は80億㌦を超えているとみられる。

 造船業界によると、年内に5~6隻の追加受注が見込まれている。関係者は「1年に40隻以上のLNG船発注があったのは、6年ぶりのことだ。LNG船市場の拡大で、最近受注が減って厳しい状況にある造船業界は一息ついた格好だ」と語った。

 上半期に造船大手4社は、ドリルシップ受注に湧いていた。1~5月で100億㌦を超えている。だが、原油価格が鎮静化する中、発注が急減。それに代わるかのようにLNG船の発注が増え、国内造船メーカーの主力受注船種となった。

 サムスン重工業は、6月から毎月LNG船受注に成功し、受注実績は17隻に達した。逆に、ドリルシップの受注は7月以降ストップし、これまでの受注実績は10隻にとどまっている。

 大宇造船海洋は、LNG船受注が10隻で、ドリルシップの2倍だ。今年に入ってドリルシップを1隻も受注していないSTX海洋も、LNG船は3隻受注している。

 このような受注トレンドの変化は、東日本大震災後に顕著になっている。日本の主要原子力発電所が稼働を中断し、LNGを利用したガスタービン発電所に対する依存度が高まったことが影響している。これにより、関連船舶であるLNG船の需要が増えた。米国が本格的なLNGの輸出に乗り出したことも大きい。

 最近の外信によると、1年半前には1日3万㌦にすぎなかったLNG船使用料が現在では12万5000㌦へと4倍以上に上がっている。業界関係者は、「2年前にはLNG船の30%は空いていたが、現在はフル稼働状態であり、LNG船の新規発注が増える見通しだ」と語った。

 NH投資証券は、2014~20年までに少なくとも200隻以上の新規発注が見込まれるとし、来年から17年までの年平均発注を29隻と予想。

 これにより、造船業界では、LNG船の国産化率引き上げに力を入れている。これまで、LNG船を受注しても、一部核心設備は高いロイヤリティーを支払って導入しているため収益性が低かった。代表的な設備に天然ガスを保管するタンクがある。これまではフランスのGTT社などから導入したが、サムスン重工業とSTX海洋が最近相次いで国産化に成功。特に、サムスン重工業は、9月に国内造船業で初めてメンブレン型タンクを独自開発した。

 LNG船全盛時代の到来で、国内造船業界は新たな飛躍を期している。


◆STXが超大型コンテナ受注◆

 STX造船海洋が、欧州の海運会社から1万6000TEU(20フィート標準コンテナ換算)級のコンテナ船6隻を受注した。

 2隻が新規受注で、4隻は既に受注していた1万3000TEU級のコンテナのサイズを変更する。受注総額は約16億㌦。

 受注したコンテナは全長399㍍、幅54㍍、高さ30㍍。コンテナは1万8000TEU級が世界最大だが、これに次ぐ規模を誇る。2014年夏から順次引き渡す。