今年、政府は基礎生活保障対象者(最低限度の生計費支援を受ける者)と次上位階層(所得が最低生計費の120%以内)に施行する「低所得層の自活事業」の参加者を10万余人に増やす。働く能力があるにもかかわらず、職に就かず基礎生活保障制度に安住する人の勤労意欲を向上させるのが目的だ。
保健福祉部は、このような内容の「2012年総合自活支援計画」を発表した。しかし、貧困層の勤労意欲を高めるには限界があるとの批判もある。
保健福祉部は2000年に低所得層の自活事業制度を導入してから10余年間の成果と問題点を基に、総合的な改善方案を提示することにした。
住宅の修理、家事、介護などの仕事を中心とした自活事業の参加対象者が10万人を超えたのは、今回が初めて。基礎生活保障対象者および次上位階層が貧困から脱するよう、政府は自活事業で働き口を提供し、創業を支援している。
また、政府は自活事業参加者が自立できる資金づくりを支援するために、「希望を育む通帳」対象者を3000人以上に拡大することにした。希望を育む通帳とは、自活事業参加者が毎月のように貯蓄すれば、政府と民間団体が同額を積み立てるというシステムだ。貧困層の就職を支援する「希望リボンプロジェクト」(福祉部)と「就職成功パッケージ」(雇用労働部)も、1万人以上増やす。
これにより自活事業の参加対象者は昨年の8万4000人から今年10万余人に増える、というのが政府の説明だ。
昨年、自活事業を通じて就業または創業した人は1万587人、基礎生活保障から離脱した人は5232人だった。保健福祉部は「昨年の自活成功率は21・8%、基礎生活保障の離脱率は10・0%に過ぎない。勤労意欲を高め、実質的な資産形成を支援することが政府政策の趣旨」と説明した。
だが、貧困層の民間労働市場への参加が活性化しないとの批判もある。例えば政府から最低限度の生計費として月100万ウォンを支援される基礎生活保障者が自活事業で60万ウォンを稼いだ場合、所得控除分(30%)を差し引いた42万ウォンが収入と算定される。すると、政府は最低限度の生計費100万ウォンに合わせるべく、58万ウォンを支援する。そのため、実際の所得は118万ウォンに増える。
自活事業でなく一般的な就業の場合には、このような所得控除の恩恵を受けることができない。コンビニエンスストアのアルバイトで60万ウォンを稼いだと仮定すると、政府支援は40万ウォンに減少。実際の所得は、働いていない時と同額の100万ウォンだ。したがって政府支援を多く受けるために、所得を隠す基礎生活保障受給者は多かった。最近では国税庁による所得調査の強化に伴い、最初から就業を放棄する事例が増えている。稼いだ分、政府支援が減るからだ。
そのうえ、基礎生活保障から離脱すれば各種現金支援は一気に無くなるため、貧困層に留まる人は一向に減少しない。
保健社会研究院は「所得控除率を高め、適性を考慮した就業および創業を支援するべき」と提言した。