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2012/07/13

<トピックス>大統領選挙が事実上スタート

  • 大統領選挙が事実上スタート①

                   出馬宣言した朴槿惠氏

  • 大統領選挙が事実上スタート②

                       文 在寅氏

  • 大統領選挙が事実上スタート③

                       孫 鶴圭氏

  • 大統領選挙が事実上スタート④

                       金 斗官氏

  • 大統領選挙が事実上スタート⑤

                       安 哲秀氏

 年末の第18代大統領選挙(12月19日)の与野党候補が絞られてきた。与党セヌリ党の本命、朴槿惠(パク・クネ)・前非常対策委員長が10日、出馬を正式に宣言した。07年に次ぐ2度目の挑戦だ。複数の世論調査で支持率1位の朴氏が出馬宣言したことで、大統領選が事実上スタートを切った形になる。

 与党は鄭夢準(チョン・モンジュン)・元代表、李在五(イ・ジェオ)議員が9日、今月20日の党内予備選に出馬しないと表明。すでに出馬表明している任太熙(イム・テヒ)・元大統領室長、安商守(アン・サンス)・前仁川市長のほか、金台鎬(キム・テホ)議員、金文洙(キム・ムンス)・京畿道知事も加われば5人で党内選挙が争われるが、事実上、朴槿惠氏がリードする形になる見通し。

 朴氏は「国民の夢が実現する国をつくりたい」として出馬を宣言した。「国家は発展し、経済は成長したのに、国民の暮らしは良くならなかった。国政運営の基調を、国家から国民へ、個人の暮らしと幸福中心へと変えなければならない」という考えだ。

 朴氏は、出馬宣言で「国民幸福」を新しい国のビジョンに掲げた。それを実現する3大課題の①経済民主化の実現②良質の雇用創出③韓国型福祉の確立を盛り込んだ「5000万国民幸せプラン」の推進を大統領選公約として提示し、「50年前の経済開発5カ年計画が産業化の奇跡を成し遂げたように、この国民幸福プランで、今後50年以上続く国民幸福の基礎を築きたい」とアピールした。

 特に、経済民主化の実現を「時代の課題」と強調し、「影響力の大きい大企業に対しては社会的責任を全うしてもらうため、果敢で断固として法を執行する政府を作る」と述べた。

 出馬表明後の記者会見では、大企業グループの循環出資について「自分が投資した持ち分以上の議決権を行使できるという不合理な面がある」とし、「新規の循環出資に対しては規制の検討が必要だ」と強調し、財閥改革を予告した。財閥の所有構造にも手をつける必要があると主張する朴氏陣営の参謀、金鍾仁(キム・ジョンイン)選対共同委員長の意向を反映した形だ。

 一方、9月23日に大統領候補を決める最大野党の民主統合党は、8日に出馬した金斗官(キム・ドゥグァン)・前慶尚南道知事ほか、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)・常任顧問、文在寅(ムン・ジェイン)・常任顧問、丁世均(チョン・セギュン)・常任顧問、金栄煥(キム・ヨンファン)議員、趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員が出馬宣言している。鄭東泳(チョン・ドンヨン)氏は9日不出馬宣言したが、朴晙瑩(パク・チュニョン)・全羅南道知事も加われば7人が出馬する乱立模様となる。

 民主統合党で真っ先に出馬宣言した孫・常任顧問は「分裂と葛藤を解消して国民を一つにする統合大統領」になるとアピール。金前慶南知事は「平等が新しい発展の動力になる平等国家を作る」と訴えた。

 現在、野党の最有力候補とされる文在寅・常任顧問は「少数特権層の国ではなく、普通の人々が主人の国をめざす」と強調し、①公平と正義に基づいた経済民主化②成長の果実をともに享受する成長戦略③強い福祉国家④雇用革命⑤児童・女性・高齢者が幸せな社会⑥安全かつ平和な韓半島の6つのビジョンを提示した。

 だが、各種世論調査で支持率は朴槿惠候補に大差をつけられている。若者に圧倒的に人気がある台風の目、無所属の安哲秀(アン・チョルス)・ソウル大融合科学技術大学院長の去就が焦点になっている。出馬をすれば、野党戦線の統一となる可能性もある。

 今回の大統領選挙で最大の争点に浮上しているのは経済の民主化。民主統合党は、朴槿惠氏の出馬宣言を牽制するかのように、前日の9日、「経済民主化のための9つの法律改正案」を発表した。①大企業グループ間の循環出資に対し、新規は全面禁止し、既存の循環出資については3年猶予後に議決権を制限する②産業資本の銀行出資上限規制を9%から4%に引き下げる③財閥犯罪に対する赦免の禁止④財閥の出資総額規制の復活など財閥やオーナー家の支配を規制する内容だ。

 民主統合党は9日の発表会見で「経済を財閥特権経済から民生中心経済に大転換させる」と基本方針を説明しており、「経済民主化」とは「財閥改革」を意味することを鮮明に示した。

 野党の中でも、さらに財閥改革に積極的な統合進歩党内は先の総選挙で、30大財閥を3000の企業に分ける「財閥解体」を公約に掲げている。

 経済界からは「与野党ともに成長戦略が見えず、経済民主化競争をしている。企業バッシングが横行すれば、成長が萎縮し、雇用が減少する」と懸念する声が出ている。大統領選挙まであと158日。波乱含みの大統領選挙となりそうだ。