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2012/09/14

<トピックス>冷え切った内需刺激へ減税対策

  • 冷え切った内需刺激へ減税対策

    「譲渡税、取得税減免について相談を受けます」と張り紙を出したソウル市内の不動産や

 冷え込んだ内需。自動車の国内販売も減少するなど韓国の景気は深刻化している。このまま放置できない状況だ。政府は10日、朴宰完(パク・チェワン)・企画財政部長官主宰で経済活力対策会議を開き、内需景気を刺激するため、減税カードを切ったが…。

 政府がこの日発表した「経済活力上昇に向けた2次財政支援強化対策」という減税対策は、①譲渡所得税や取得税など不動産関連税の減免②自動車と高価格家電製品の個別消費税減税③勤労所得税の源泉徴収引き下げの3点からなる。いずれも時限付きで、応急措置の色彩が強い。

 まず不動産関連税の減税から見ていこう。同対策では、冷え込んでいる不動産取引の活性化のため、年末までに未分譲住宅を取得すれば、今後5年間に発生する譲渡差益に対する譲渡所得税を100%免除する。もっとも、不動産価格が上昇すればの話であり、免除効果には疑問の声もある。

 譲渡所得税の免除は、通貨危機以来の措置で、首都圏だけでなく全国が対象となる。それだけ売れ残り物件が全国的に多いことを物語る。

 住宅の取得税は、9億ウォン以下で保有戸数が1戸の人に限り、現行の2%を1%に50%減免する。9億ウォン超や複数保有者に対しても4%から2%に税率を半減する。ただし、どのケースも年末までに購入した人に限られる。

 次に、自動車と高価格家電製品の個別消費税は11日から年末まで1・5ポイント引き下げられる。

 自動車の場合、排気量2000㏄以下の税率は5%から3・5%、2000㏄超は8%から6・5%にそれぞれ下がる。これにより「YFソナタ」は48万ウォン、32万ウォンほど下がることになる。

 また、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの高価格大容量家電製品は、税率が5%から3・5%に下がる。すでに中小型家電製品は免税だ。

 また、今月から勤労者の給与から源泉徴収される勤労所得税が見かけ上10%減額される。1~8月に源泉徴収された源泉徴収も、9月の給与支払い時に過払い分が還付される。月収500万ウォンで4人家族の場合、8月までの還付金は22万7760ウォンになる。月末の秋夕(旧盆)までに手持ち資金が多少増えることになる。

 もっとも、今回の措置で納税額が減るわけではない。来年3月に受け取る年末調整金還付を前倒ししただけのことで、納税額には変化がない。勤労者の可処分所得を高める必要性にかられた苦肉の策というしかない。政府関係者は「源泉徴収額引き下げで、少なくとも今年は可処分所得の増額効果が確実だ。結局、重要なのは後ではなく今だ」と語った。

 今回の対策について、朴宰完長官は「世界的に経済危機が長期化する中、国民の警戒心理が景気をさらに冷え込ませないようにしたい」と説明した。

 果たして減税効果はどれほど期待できるのか。政府は、今年4兆6000億ウォンの資金を市中に放出する効果があると見ている。内訳は、取得税減免で7000億ウォン、個別消費税引き下げで1300億ウォン、源泉徴収早期還付で1兆5000億ウォン、さらに地方自治体の予算執行率を高めることで2兆ウォン。これに社会間接資本に対する民間投資を誘導する財政投入が加わる。

 だが、年末までの時限付きであるため、効果は限定的とならざるを得ない。反動を懸念する声もある。重要なのは持続可能な成長を維持するための投資と雇用創出であり、この分野での抜本的対策が迫られている。