「国際協同組合年」の今年、韓国で来月1日に協同組合設立の自由を保障した協同組合基本法が発効し、小額・小規模の協同組合の設立が可能になる。現在は特別法に基づき、農業協同組合や水産業協同組合などが存在するが、今後は金融業を除く全分野で法人格を持つ協同組合を設立できるようになり、新たな創業チャンス到来として注目されている。
基本法発効を控え、協同組合づくりや協同組合への転換などの準備作業が活発化している。協同組合関係者は、「協同組合設立が自由化されれば、1年以内に1万組合以上に増える可能性もある」と予想した。高学歴の青年失業が高水準で推移しており、雇用問題が深刻化している折、設立が自由化された協同組合が新たな起業の受け皿となるからだ。
国際協同組合年に際して、消費者生活協同組合などで5月に結成した韓国組織委員会はこの間、今回の基本法に沿い、協同組合への転換や協同組合設立を準備している社会的企業や自活団体、社会的経済組織に対して協同組合運動への参加を呼びかけており、社会的にも関心を集めている。
基本法によると、協同組合は5人以上の組合員が集まれば小額・小規模で創業できる。商法上の営利法人と民法上の非営利法人の中間の形態で、共同所有と民主的な運営が特徴だ。基本法では、営利追求型の「協同組合」と、地域社会や弱者層向けの公益事業も担う「社会的協同組合」に分けられる。
企画財政部などによると、来月1日から各市・道は一般協同組合の設立届けを、関係官庁では社会的協同組合の認可申請を受け付けることになっている。
特に生産者による協同組合の場合、組合員数がそのまま雇用規模となるため、雇用創出に役立つとの期待が大きい。協同組合向けの専門金融機関の設立、政府調達の優先購入などの動きも起こっている。
協同組合は人が中心の公益性が強い組織とされ、独占・寡占など資本主義経済の弱点を補完し、社会的弱者層に雇用創出と社会サービスを提供するなど福祉システムを強化することも利点に挙げられている。
政府は、協同組合が株式会社と対等に競争できるように制度補完を進める方針だ。文化や自然など各地域社会の固有の資源を基に事業を行う企業や、在来市場などの小規模事業者を対象に協同組合の設立を誘導する。また、同業種の小売店が組合を作り、共同調達・販売できるように流通産業発展法も改正することにしている。
◆基本法の意義◆ 協同組合基本法の最大の意義は、出資金に関係なく5人さえ集まれば市・道知事に申告するだけで協同組合を自由に設立できるようにしたことだ。また、非営利目的の社会的協同組合もつくれるようにするなど協同組合法制を現代的に整備したことも意義深い。
基本法制定以前の韓国の協同組合法は、農業共同組合法、水産業協同組合法、山林組合法、信用協同組合法など8つの特別法による個別法からなり、特別法が制定されていない分野では多様な協同組合の設立が不可能だった。
韓国には労働・福祉・教育・住宅など社会福祉サービス関連分野で約8000の事業体が協同組合方式で運営されている。
しかし、これらの事業体は、法制上では社団法人、個人事業者、株式会社などの形態で活動を余儀なくされているが、今回の基本法発効で法制度的に改善されることになる。