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2014/07/04

<トピックス>私の日韓経済比較論 第42回 ウォン高危機説は本当か?                                                    大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。2013年より教授。

  • 私の日韓経済比較論 第42回 ウォン高危機説は本当か?

    外換銀行ディーリングルーム

◆経常収支赤字、通貨暴落の可能性低い◆

 6月末のウォン・ドルレートを金融委員会の「金融市場動向」から見ると、1ドル=1012ウォンである。昨年末のレートが1055ウォンであるので、緩やかであるがウォン高が進んでいることがわかる。長期的にウォン・ドルレートを見ると、ウォン安傾向で推移しており、1020ウォンの防衛ラインが突破されたと、警戒感が強まっている模様である。

 一般的に自国通貨が高くなれば、輸出不振といった影響が出ると考えられる。需要を構成する輸出が落ち込めば景気後退の引き金となる。韓国の場合は、これに加え、経常収支赤字、さらには通貨暴落が懸念されている。しかし結論を先に述べれば、現状においては輸出不振による景気後退、経常収支赤字、通貨暴落のいずれも起こる可能性は大きくないと考えられる。以下では順を追って説明していこう。

 まず輸出であるが、ウォン高が進んでいる現在においても大きく減少するといった状況ではない。これには大きく2つの要因がある。一つは携帯電話を始めとして海外生産比率が飛躍的に高まっていることである。日本も円高期に海外生産比率を高めることで競争力の維持を図ったが、韓国でも同様のことが起きている。もう一つは欧米の景気が堅調であることである。輸出は為替レートのみならず、輸出相手国の所得にも影響を受ける。為替レートのみを見れば輸出にマイナスの影響を及ぼすが、現状では欧米の堅調な景気のプラスの影響によって相殺されている。


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