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2014/12/05

<トピックス>私の日韓経済比較論 第47回 韓国財政破綻論の誤り                                                    大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。

  • 私の日韓経済比較論 第47回 韓国財政破綻論の見誤り

    国家債務の悪化により、国家財政への悪影響が懸念される

◆国家債務に何でも含めば、どの国も破綻◆

 OECDが公表している一般政府債務の対名目GDP比を見ると、日本は228・0%であり、金融緩和だけでなく債務も異次元のものとなってしまった感がある。もちろんこの数値はOECD加盟国で最も高く、財政危機に陥ったギリシャをも大きく引き離している。そのようななか、ムーディーズは12月1日、消費税引き下げ延期により財政再建の不確実性が高まったことを理由に、日本国債を韓国国債と同等のAa3からA1に引き下げた。

 韓国の一般政府債務の対名目GDP比は37・6%にとどまっており、30カ国中、低い方から5番目の数値である。この数値から韓国の財政状況は健全であると判断できるが、最近日本の一部メディアでは、韓国の国家債務がGDPの60%に近い、さらには170%に近いため、実際の財政状況は悪いといった報道がなされている。


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