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2014/06/27

<トピックス>切手に描かれたソウル 第45回 「韓国とベルギー」                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に描かれたソウル 第45回 「韓国とベルギー」

    ベルギー国連部隊の記念封筒(1953年)

◆韓国戦争に参戦し、101名が戦死◆

 本紙の発行日にあたる6月27日、早朝5時から、W杯一次予選で韓国はベルギーとサンパウロで対戦する。今回は韓国とベルギーの関係について、簡単にまとめておきたい。

 韓国とベルギーとの関係は、1901年10月17日、両国間の国交が開かれ、総領事としてレオン・ヴァンカールがソウルに着任したところから始まる。その後、大韓帝国は1905年11月に結ばれた第2次日韓協約によって外交権を失うが、その後も、日本による韓国併合まで、ベルギーとの外交関係は事実上維持されていた。そのことを物語るのが、現在、江南の舎堂駅(駅番号は226、433)近くのソウル市立美術館・南ソウル分館である。

 この建物は、もともと、1905年に竣工したベルギー領事館の建物で、当初は、南大門市場に近い会賢洞にあった。地下1階、地上2階建て。外壁は赤レンガと花崗岩で造られた古典主義様式の建物だ。

 その後、ベルギー大使館が現在の龍山区漢南洞に移転したため、1970年、韓国商業銀行(1998年に韓一銀行と合併して、現在はウリ銀行)が払い下げを受けて保存・管理することになり、1977年には国の指定史跡第254号に選定された。そして、ソウル都心の再開発事業のため、1983年、現在の場所に移築され、2004年以降、ソウル市に無償で借り受けて、現在は市立美術館南ソウル分館として利用されている。


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