◆1898年、漢城電氣株式會社設立がルーツ◆
ソウル江南の三成洞にある韓国電力公社(以下、韓電)の本社は、韓国政府の地方振興策の一環で今年11月をめどに全羅南道羅州に本社を移転することになっているが、その跡地・建物の入札が17日に行われた。そこで、今回は韓国の電力事業の歴史についてまとめてみたい。
韓国における電気事業のルーツは、1898年の漢城電氣株式會社設立に求められる。
1895年の閔妃暗殺事件の後、高宗は清涼里の洪陵に閔妃の墓所を築造し、しばしば墓参に訪れていたが、多くの従者を連れての参拝には多額の費用が必要だった。これに対して、米国人技術者、ヘンリー・コールブランは、王宮から墓所まで路面電車を敷設し、普段は一般住民の移動手段とすることで、経費の削減と増収の一石二鳥を図れるとして、電車敷設を提案。これを受けて、1898年、王室と米国人技術者(コールブランとハリー・ライス・ボストウィックの2人)の共同出資で漢城電氣株式會社が設立された。ちなみに、漢城電氣の資本金150万円は、コールブランとボストウィックが75万円、王室が75万円を負担する約束になっていたが、王室が実際に支払ったのは15万円だけだった。これに伴い、東大門の脇にソウルで最初の発電所が作られる。
その後、1902年に漢城電氣の本社社屋が全焼したため、漢城電氣は全財産を担保として、本社を米国コネチカット州に置く韓美電氣會社に移管。1904年には正式に韓美電氣に吸収合併された。しかし、その韓美電氣も1909年には日系資本に買収され、同社が展開していた路面電車と電力ガス事業は日韓瓦斯電気株式會社が継承する。
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