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2015/03/20

<トピックス>私の日韓経済比較論 第50回 韓国銀行の政策金利1%台に突入へ                                                    大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、00年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授。

  • 私の日韓経済比較論 第50回 韓国銀行の政策金利1%台に突入へ

    金利引き下げを決定する李柱烈・韓国銀行総裁

◆過去最低水準に、新たな金融政策が必要な時代へ◆

 去る3月12日、韓国銀行は基準金利(base rate)を2・00%から1・75%に引き下げる決定をした。基準金利とは韓国銀行の政策金利であり、具体的には買戻し条件付債権の売買、資金調整預金や貸出などの取引を行う際の基準となる金利である。基準金利は2008年8月から10月にかけて5・25%であったが、その後、リーマン・ショックによる景気悪化に対処すべく5回に分けて引き下げられ、2009年2月には2・00%となった。

 この水準は2010年7月まで続いたが、景気回復やインフレ懸念を受け5回に分けて引き上げられ、2011年6月には3・25%となった。しかし1年1カ月後の2012年7月から再度引き下げが始まり、この3月を含め6回の引き下げを経て、1・75%と1%台に突入した。

 韓国銀行が政策金利として基準金利を採用する以前は、コール金利(call rate)が政策金利であったが、コール金利の時代を含めても史上最低の政策金利となった。

 韓国銀行は3月に基準金利を0・25%引き下げた理由として景気回復の遅れを挙げている。輸出は減少し、民間消費や設備投資など内需も不振である。今後、景気は緩やかに回復するものの、当初予想したレベルは下回り、GDPギャップがマイナスである期間も予想より長くなると見通している。


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