◆より積極的な経済政策の導入必要◆
2013年下半期より不振に陥った韓国経済は、今年に入って弱いながらも回復に転ずる動きが見え始めていた。輸出は、主要な新興国の成長が鈍化するとともに、ウォン高によって競争力が低下したことから不振から脱していない。
他方で内需は、投資において機械受注や建設受注といった先行指標に改善の動きが見られるなど、回復が期待されていた。
しかし内需を中心とした回復の兆しは、MERS(中東呼吸器症候群)問題により吹き飛んでしまった。初めて患者が発生したのが5月20日、患者数が拡大したのが6月上旬から中旬にかけてである。
MERS問題が最も影響を与える需要項目は個人消費であるが、6月の数値が出るのが7月下旬であるため、まだ経済指標にはMERS問題の影響は表れていない。
ただし企画財政部の資料によれば、問題発生後、百貨店販売額が問題発生前の2週間と比較して29・8%落ち込み、大型マート販売額も14・5%減少した。
昨年の旅客船・世越号沈没事故の際には、それぞれ8・7%、2・5%の落ち込みであったことを勘案すれば、MERS問題が個人消費に与える影響は相当程度に大きいことが予想できる。また同資料によれば、サービス産業も大きな打撃を受けている。
宿泊業のクレジットカード承認額を見ると、6月第1~2週の数値は、5月第1~2週と比較して8・1%減少しており、旅行社は18・5%減、旅客運送社は14・8%減、ガソリンスタンドは6・6%減、飲食店は5・8%減と軒並み数値が落ち込んでいる。
そこで政府は、MERS問題の克服、庶民生活安定のために、12兆ウォンの補正予算を含む総額22兆ウォン規模の経済対策を行うこととし、7月3日には補正予算案が国務会議で決定され、その後、国会に提出された。
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