◆22・1%占める最大輸出国の動向注視を◆
言うまでもなく韓国経済は外国発のショックに弱い。従来はアメリカ発のショックで経済が翻弄されていたが、最近は中国を震源とするショックを受けるリスクから、先行きが不透明になっている。韓国経済が外国発のショックに無防備な理由として、輸出に依存した需要構造、外国資本の流出入が激しい金融構造の2点を挙げることができる。
まず輸入に依存した需要構造である。実質GDPに対する輸出の比率を見ると、2010~14年の5年間の平均で54・9%に達している。これは主要貿易相手国の景気が後退した場合、輸出減を通じて韓国の景気も後退することを意味する。
次に外国資本の流出入が激しい金融構造である。韓国は90年代から徐々に資本移動規制を緩和していたが、97年の通貨危機を契機に資本流出入が自由となった。
韓国は、経済成長率が比較的高く、カントリーリスクも低いことから、欧米金融機関の投資先となっている。その結果、欧米金融機関が積極的に投資している時期には韓国に資本が流入する。
一方、欧米金融機関は、何らかの理由で手元流動性が必要となった場合、資本流出が自由な韓国から真っ先に資金を引き揚げる。韓国からは一気に資本が流出するが、その際、ドル不足に陥り、ウォンが暴落する。
韓国は外国発のショックに弱い経済構造に対し無防備な状況である。輸出依存の需要構造は、70年代から政府が輸出主導型発展を強力に推し進めてきた結果である。
この政策は成功し韓国は高度成長を謳歌したが、同時に産業構造は輸出中心となった。政府は過度に輸出に依存する産業構造の転換を模索しているが、有効な方策を見いだせない状況にある。
資本流出入についても、韓国は資本流出に対して無防備な状況にある。急激な資本流出に伴いドルが不足しても、外貨準備が潤沢であれば問題はないように見える。しかし、外貨準備の大部分は外国債券などで運用されており、流動性の面からの制約がある。そのようななか、ドルあるいは他のハードカレンシーの供給を約束した二国間の通貨スワップ協定は、支援の際に条件を課されることもなく利用しやすい手段である。
ハードカレンシーの供給が約束された通貨スワップ協定としては、一時期、日本との通貨スワップ協定により700億㌦の枠を確保していた。しかし現在は、その通貨スワップ協定も終了している。
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